ライブ動画ストリーミングとは

ストリーミングは、インターネット経由でメディアを迅速かつ効率的に送受信するためのテクノロジーです。ストリーミング・メディアには、映画、テレビ番組、ゲームコンテンツ、スポーツイベントなどの動画のほか、音楽やポッドキャストなどのオーディオがあります。ストリーミングされるメディアは、ストリーミング・メディア・サーバーに保存されて、そこで圧縮され、インターネット経由で簡単に送信できる一連の小さなデータパケットに分割されます。ユーザーがコンテンツへのアクセスを要求すると、サーバーはファイル全体をダウンロードするのではなく、一度に少量ずつのファイルを継続的に送信します。ストリーミング・メディア・テクノロジーは、視聴者の数秒先を行くのに必要十分な動画ファイルやオーディオファイルを送信することにより、時間やディスク容量を大量に消費せずにスムーズで中断のない再生を可能にします。

ライブ動画ストリーミングの仕組むは、オンデマンド動画ストリーミングとほぼ同じです。圧縮された動画をインターネット経由で、小さなデータパケットの形で、視聴者の数秒先を行くのに必要十分な速さで送信します。ただし、ライブ動画ストリーミングはサーバーに保存されている動画を送信するのではなく、カメラでキャプチャされたばかりの動画を送信します。

ライブ動画ストリーミングには、以下のステップが含まれます。

• キャプチャ：動画はカメラを使用してライブでキャプチャされます。カメラには、Web カメラやスマートフォンのカメラのようなシンプルなものもあれば、ブロードキャスト品質の機器のようなハイエンドのものあります。
• エンコーディング：動画データを圧縮して小さなファイルを作成し、別のフォーマットにエンコードして、さまざまなデバイスで再生できるようにします。
• トランスコーディング：トランスコーディングプロセスでは、複数のバージョンの動画ファイルを作成し、さまざまなデバイスで高品質の再生を行えるようにします。トランスコーディングにより、アダプティブビットレート（ABR）ストリーミングが可能になります。このストリーミングでは、動画ファイルの品質とサイズがネットワークの状態、インターネット速度、動画を再生するデバイスの場所と種類に合わせて調整されます。たとえば、スマートフォンの画面で再生する動画は、70 インチの HDTV で再生する動画よりも小さいファイルにすることができます。動画コンテンツが複数のビットレートで利用可能になると、ユーザーのデバイスはインターネット速度に応じて最も適切に表示されるバージョンを選択できます。
• セグメンテーション：このステップでは、動画ファイルを小さなデータパケットに分割して、インターネット経由で簡単に送信できるようにします。
• 配信：最小限のレイテンシーとラグで再生できるようにするために、動画をコンテンツ・デリバリー・ネットワーク（CDN）を介して配信します。CDN は、さまざまな場所にあるサーバーに複数のバージョンの動画ファイルを保存または「キャッシュ」し、ユーザーに最も近い場所にあるサーバーから動画にアクセスできるようにします。
• デコーディング：ユーザーのデバイスが動画データパケットを受信すると、デコード、解凍、および再生用動画ファイルへの変換が行われます。

ライブ動画ストリーミングには、さまざまな種類の機能の動画配信ソリューションが必要です。

• カメラ：ライブストリーミング用のカメラには、スマートフォンカメラなどのシンプルなデバイスや、ブロードキャスト品質のライブストリーミング専用に設計されたハイエンド機器があります。カメラには通常、動画をストリーミング可能なデータに変換する動画キャプチャカードが内蔵されています。
• エンコーダー：エンコーダーは、未加工の動画信号をインターネット経由で送信できるデジタルフォーマットに変換するストリーミングソフトウェアまたはハードウェアデバイスです。エンコーダーはコーデックとアルゴリズムを使用して、動画データをできるだけ圧縮します。また、エンコーダーは圧縮率や解像度の異なる複数のフォーマットに動画データをレンダリングし、さまざまな解像度やサイズのデバイスを使用して、さまざまな接続速度で高品質の動画を再生できるようにします。
• CDN： CDN（コンテンツ・デリバリー・ネットワーク）は、世界中に分散されたサーバーの集合であり、ユーザーの近くに動画ファイルを保存して提供することで、レイテンシーを最小限に抑え、視聴品質を向上させます。
• 分析：動画分析テクノロジーは、ライブ動画ストリーミングのパフォーマンス品質、視聴者エンゲージメント、収益化に関する指標を追跡します。

ライブ動画ストリーミングの一般的なユースケースとして、次のものがあげられます。

• 企業や個人のストリーマーがソーシャル・メディア・プラットフォームでライブ動画ストリーミングを使用し、製品のマーケティングを行ったり、バーチャルイベントを共有したり、視聴者とつながったり、エンゲージメントを強化したり、フォロワーを増やしたりすることがよくあります。
• コンテンツプロバイダーがライブストリーミングを使用し、スポーツイベント、ゲームコンテンツ、政治討論会、公的行事、ニュース報道の生放送を行います。
• 企業が、製品発表、社内ミーティング、エグゼクティブコミュニケーション、ウェビナー、ライブイベントの共有、従業員のトレーニングなど、さまざまな目的でライブストリーミングを利用します。
• 宗教団体がライブストリーミングを使用して礼拝を放送します。
• 病院や医療専門家がライブ動画ストリーミングを使用して手術の支援や医学生のトレーニングを行うことがあります。
• 行政機関が公開の会合や集会をライブ配信し、住民の参加を促進することがよくあります。

ライブ・ストリーミング・プラットフォームは、ストリーミング動画を視聴者にリアルタイムで配信するためのソフトウェアアプリケーションです。企業は独自のライブ・ストリーミング・プラットフォームを導入したり、Vimeo や LinkedIn Live などのサイトを使用してコンテンツをより簡単にストリーミングしたりできます。人気のソーシャルメディア動画プラットフォームとして、TikTok、Instagram Live、YouTube Live、Facebook Live があげられます。また、Twitch は最も人気のあるビデオゲーム向けライブ・ストリーミング・サイトの 1 つです。

ライブ動画ストリーミングの品質は、いくつかの要因の影響を受ける可能性があります。

• ネットワーク帯域幅：帯域幅とは、ネットワークが一度に送信できるデータ量です。動画コンテンツなどのデータに対するユーザーの需要がネットワークの帯域幅を超えると、ファイルの転送速度が低下し、サービスの中断や視聴体験の悪化につながります。
• レイテンシー：データはインターネットを介して驚異的な速度で伝送されますが、ライブ動画ストリーミングはストリーミングサーバーとユーザーデバイス間の距離の影響を受けます。距離が長いほど、メディアサーバーからユーザーのデバイスに信号が届くまでの時間が長くなり、レイテンシーが発生します。
• バッファリング： バッファリングとは、インターネット接続の速度が変動する場合でも中断することなくスムーズに再生するために十分な動画ファイルまたはオーディオファイルをあらかじめロードするプロセスです。十分なコンテンツバッファを保持できない場合、ストリーミングデバイスやメディアプレーヤーは再生を一時的に停止し、追加データをダウンロードします。バッファリングはストリーミングプロセスに不可欠ですが、ユーザーの不満の主な原因となる可能性があります。
• スケーラビリティ：大量の同時視聴者に対応するためには、需要に合わせて動的にスケーリングできる堅牢なインフラが必要です。人気のあるイベントの最中に視聴者数の急増に対処する場合は、さらに複雑になります。

Akamai は、コンテンツ配信およびストリーミングメディア業界のリーダーとして、高品質の視聴体験を一貫して実現するために必要なスケーラビリティと信頼性を備えたライブ動画ストリーミングおよび動画配信ソリューションを提供しています。

当社の革新的なストリームパッケージングおよび動画トランスコーディングソリューションは、単一のライブストリームを処理して複数のデバイスやプラットフォームに届けることで、ライブ動画ストリーミングワークフローを合理化します。Akamai のテクノロジーは、iOS および Android プラットフォーム向けの HTTP ライブストリーミング（HLS）であれ、Flash ベースのプラットフォームでのアダプティブビットレート（ABR）配信用の HTTP ダイナミックストリーミング（HDS）であれ、適切なプロトコルを使用してコンテンツをリアルタイムで動的にパッケージ化します。また、ライブ配信用の MPEG-DASH などの最新のストリーミング形式もサポートしています。

その他にも、次のようなライブ動画ストリーミングおよび動画配信ソリューションがあります。

• Adaptive Media Delivery 
  世界中の視聴者向けに、あらゆるスクリーンに高品質の動画を配信
• Download Delivery 
  大容量ファイルのダウンロードを、グローバル規模で、いつでも、確実に配信
• Dedicated Delivery 
  ネットワーク効率を最大化しながら、ブロードキャスト品質の動画を配信