クラウドの負荷分散とは
クラウドの負荷分散は、クラウド環境で実行されている複数のサーバーにトラフィック、ワークロード、クライアントリクエストを均等に分散させる方法です。この方法では、各クラウドリソースの負荷が合理的に管理できるものであることを確認し、クラウド環境でマシンやサーバーが過負荷状態または十分に活用されていない状態になることを防止することで、優れた クラウド最適化 を実現します。
効果的な負荷分散により、組織はクラウドベースのワークロードの需要を満たしながら、パフォーマンスの向上、信頼性の強化、ダウンタイムの最小化、レイテンシーの抑制を実現することができます。
クラウドの負荷分散の仕組み
クラウドコンピューティングでは、負荷分散テクノロジーはバックエンドサーバーとクライアントデバイスの間にあります。リクエストを受信すると、ロードバランサーは、地理的距離やサーバー負荷などのさまざまな基準を考慮したアルゴリズムを使用して、使用可能なサーバーに受信したリクエストを分散します。
クラウドの負荷分散の手法とアルゴリズムとは
クラウドでの負荷分散は、通常、トラフィックの転送方法を決定するアルゴリズムを使用して実現されます。これらのアルゴリズムは、一般的には静的と動的の 2 つのカテゴリーに分類されます。
静的アルゴリズム
- ラウンドロビン リクエストを各クラウドサーバーに単純に同じ順序で循環的に転送します。
- 重み付きラウンドロビン より優れたキャパシティを備えるサーバーに高い「重み」を割り当てることで、そういったサーバーがより多くの受信アプリケーショントラフィックを受信できるようにします。
- IP ハッシュ クライアント IP アドレスに対してハッシュ、つまり数学的計算を実行して、数値に変換して個々のサーバーにマッピングします。
動的アルゴリズム
- 最小接続数 アクティブな接続が最も少ないサーバーにトラフィックを分散します。
- 最小応答時間 平均応答時間が最も短く、接続数が最も少ないサーバーにトラフィックを転送します。
- 最小帯域幅 最近の期間で、帯域幅の消費量が最も少ないサーバーにリクエストを送信します。
クラウドの負荷分散のメリットとは
効果的なクラウドの負荷分散のメリットは次のとおりです。
- パフォーマンスの改善。負荷分散では、複数のリソースにワークロードを自動的に分散することで、クラウドで実行されているアプリケーションが、トラフィックの急増により簡単に対応することができます。
- 信頼性の向上。複数のクラウドハブでアプリケーションをホスティングすることで、機能停止発生時にトラフィックをルーティングできます。
- コストの削減。クラウドでのソフトウェアベースの負荷分散により、オンプレミスの負荷分散機器の導入、格納、設定、保守にかかるコストを削減できます。
- レイテンシーの抑制。負荷分散では、使用可能なリソース全体にクラウドワークロードを均等に分散させることで、アプリケーションユーザーの応答時間を最小限に抑えます。
- 自動化が容易。クラウドの負荷分散では、アプリケーションに関する洞察をほぼリアルタイムで提供し、予測分析を使用して潜在的なボトルネックを事前に特定できるようにすることで、自動化を強化します。
- 迅速なリカバリー。ネットワークの緊急事態や自然災害時に、クラウドの負荷分散を提供するプロバイダーが、トラフィックを他の地域にリダイレクトして、継続性と可用性を確保できます。
- 柔軟性の向上。クラウドの負荷分散は、トラフィックを別のサーバーにルーティングすることで、開発チームが本番環境でアップデートの実行、パッチの適用、サーバーの問題の修正、テストの実行を行う際のニーズをサポートします。
- セキュリティの強化。クラウドの負荷分散は、複数のサーバーにトラフィックを分散させ、過負荷状態になっているサーバーからトラフィックを再ルーティングすることで、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃に対する防御を強化します。
- シームレスなスケーラビリティ。クラウドの負荷分散ソリューションは、アプリケーションを自動的かつ効率的に拡張して、ワークロードの変動を管理するのに役立ちます。
- 健全性チェック。クラウド DNS ロードバランサーは、アップストリームサーバーの健全性を監視する定期的なチェックを自動的に実行します。
クラウドの負荷分散と従来の負荷分散の違い
従来の負荷分散テクノロジーはハードウェアベースであり、IT チームはデータセンター内で独自のハードウェアを導入、管理、保守する必要があります。一方、クラウドの負荷分散は、ほとんどのクラウドベンダーが顧客の環境内でハードウェアを動作させることができないため、ソフトウェアベースのテクノロジーとなる傾向があります。ソフトウェアベースのロードバランサーは、あらゆる場所や環境で実行できるうえに、中小企業も手頃な価格で利用できます。
クラウドのサービスとしての負荷分散(LBaaS)とは
サービスとしての負荷分散は、オンプレミスの専用機器に代わる、必要に応じたクラウドの負荷分散を提供します。LBaaS は、クラウドの負荷分散により、物理インフラを再構成する必要なくトラフィックの急増に対応できるため、スケーラビリティが向上します。最も近いサーバーに接続することで可用性が向上します。また、LBaaS は、ハードウェアベースの機器と比較して、投資とメンテナンスのコストを削減できます。
負荷分散の種類
クラウドの負荷分散は、大まかに次の 4 つに分類されます。
- アプリケーション 負荷分散では、HTTP ヘッダーまたは SSL セッション ID などのリクエストの内容を確認することで、トラフィックをリダイレクトします。
- ネットワーク 負荷分散テクノロジーは、トラフィックを最適なリソースにリダイレクトするときに、IP アドレスなどのネットワーク情報を考慮します。
- グローバルサーバー 負荷分散は、クライアントにとって地理的に最も近い宛先にトラフィックをリダイレクトして、レイテンシーを最小限に抑えます。
- DNS 負荷分散では、ドメイン内のリソースの集合を介してネットワークリクエストをルーティングするようにドメインを設定します。
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