Google の Core Web Vitals は、読み込み速度、インタラクティブ性、視覚的安定性などに関する測定指標および重要業績評価指標(KPI)です。Core Web Vitals は、ページで提供される顧客体験の質の高さをランク付けするために使用されています。
Web サイト監視とは、Web サイトのパフォーマンスを定期的に監視、評価し、テストすることです。Web サイト監視の目的は、サイトが意図したとおりに機能し、ページがすばやく読み込まれ、ユーザーにとって安全で利用しやすい状態であることを確保することで、Web サイトの閲覧者に質の高い体験を提供することです。
Web サイト監視の重要性
Web サイトは、多くの企業にとって、顧客を引き付け、製品やサービスを販売する主要な手段となっています。企業のオンラインプレゼンスである Web サイトは、ブランドの重要な一部であり、ビジネスの質を反映するものです。だからこそ、Web サイトのパフォーマンス監視はミッションクリティカルな優先事項となっているのです。
顧客は Web サイトが 24 時間 365 日利用可能で、すばやく読み込まれることを期待します。求められているのは使いやすく完全に安全な Web サイトです。機能しないリンクやページ要素には容赦がありません。Web 監視によって、問題をすばやく特定し、停止やダウンタイムを回避するとともに、レイテンシーやボトルネックを低減して速度やパフォーマンスを改善することは、企業が顧客の期待に応え、より良いユーザー体験を提供するために役立ちます。
Web サイト監視の仕組み
Web サイト監視には、データ収集、パフォーマンスの追跡、Web サイトの動作やユーザーとのインタラクションに関する知見の取得など、さまざまなツールが使用されます。Web 監視では、実際のユーザーアクションを監視する場合(Akamai mPulse などのリアルユーザー監視、つまり RUM)もあれば、Web サイトに適用したテストの結果を追跡する場合(WebPageTest などのシンセティックテスト)もあります。
Web 監視ツールは、 Web サイト速度テストおよび Web サイト・パフォーマンス・テスト を実行することにより、ページの読み込み速度や、ページのレンダリング状況、ユーザーがページ上のリンクをクリックした場合の動作、検索や e コマース・ショッピング・カートなどの機能、さらにスマートフォン、タブレット、デスクトップなど、異なるデバイスでの各ページのパフォーマンスを確認します。
Web サイト監視の種類
開発チームや管理者は、さまざまな Web サイト監視手法を使用しています。
- シンセティックテスト:このアプローチでは、スクリプトを使用し、実際のユーザーが Web サイトで実行する可能性のあるアクションをシミュレートすることで、Web サイトのパフォーマンスを監視します。シンセティックテストは制御下の環境で実行されるため、デバイス、ブラウザー、ネットワーク、キャッシュステータスなど、さまざまな変数をテストできます。早期検知に優れているので、ユーザーがパフォーマンスの問題やバグに遭遇する前にチームが修正できます。また、サイトの大幅な変更後にパフォーマンスを測定するリグレッションテストにも最適です。
- リアルユーザー監視(RUM):RUM は リアルタイムユーザー監視と呼ばれることもあります。これは、実際のユーザー体験を追跡することで Web パフォーマンスを監視する手法です。サイトを熟知し、各要素の意図を理解している開発者が実施するシンセティックテストでは特定されないようなパフォーマンス問題が明らかになることもあります。RUM は、ユーザーとサイトのインタラクションの状況や、最も閲覧数の多いページ、閲覧者の滞在時間などに関する知見を提供します。
- アップタイム/ダウンタイム監視:Web サイトのアップタイム監視は、Web ページや Web サイトの可用性に問題が生じるとすばやくアラートで通知することにより、ユーザーのパフォーマンスに影響が生じる前にチームが対処できるようにします。
- API 監視:この監視機能は、 アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)の急速な普及に伴い、Web サイトの可用性とパフォーマンスに影響を及ぼす可能性のある API 問題に対応するために使用されています。
- エラー監視:Web サイトのエラーを追跡、分析、トラブルシューティングすることにより、Web サイトのパフォーマンスに影響してユーザー体験を低下させる可能性のあるバグや問題をすばやく診断できます。
- セキュリティ監視:セキュリティソリューションは、サイバー攻撃やデータ漏えいを防ぐために、トラフィックを監視し、マルウェアや侵入の兆候を調べて、 ファイアウォール、SSL 証明書、 DNS が攻撃を受けていないことを確認します。
- トランザクション監視:これは、ログイン、支払い、検索などのユーザートランザクションを可能にする Web サイト上のインタラクティブ要素のパフォーマンスを追跡する機能です。
- インフラ監視:インフラ監視とサーバー監視のソリューションは、Web サイトで稼働するハードウェアとソフトウェアを常に監視します。
- ネットワーク監視:これらのツールは、ルーターやスイッチなどのインフラの健全性とパフォーマンスを追跡し、ping テストを使用してレイテンシーを測定することで、ネットワークを監視します。
- 分析監視:分析により、サイトがユーザーにとってどの程度使いやすいかが明らかになります。サイト閲覧数、閲覧者のアクセス元、サイト内での移動経路、最もよく閲覧されるページなど、重要な指標を測定します。
- アプリケーションパフォーマンス監視(APM):APM ツールは、Web アプリケーションのパフォーマンスを分析し、意図したとおりに動作しているかどうかを確認します。
- ステータスページ:このページは、Web サイトにおいて Web サービスの信頼性と健全性をユーザーや顧客に伝えるために役立ちます。このように、明確なコミュニケーションと透明性を確保することで、ユーザーとの信頼関係を構築できます。
Web サイト監視ツール
市場には、パフォーマンスの追跡や重要な指標の監視に幅広い機能を備えた Web サイト監視サービスが数多く存在します。Akamai mPulse、Datadog、UptimeRobot、Dynatrace、Pingdom、Uptrends、Site24x7 など、優れた Web サイト監視ソリューションの中には、包括的な RUM やシンセティック監視、あるいはその両方に加え、Slack や Microsoft Teams などのプラットフォームとの統合機能を備えた高度な機能を提供するものもあります。
ソリューションを選択する際には、次のような監視機能を提供するプロバイダーを探す必要があります。
- 24 時間体制の自動監視: 問題をすばやく特定し、Web チームのワークロードを合理化します。
- 使いやすい診断ツール: これにより、Web チームはパフォーマンスやユーザー体験が低下する根本原因をすばやく特定できます。
- 即時アラート と SMS 通知:Web サイトがダウンした場合や、設定された SLA のしきい値を下回った場合に IT チームに通知します。
- リアルタイムデータと履歴データのレポート: 使用状況、ユーザーのふるまい、Web サイトパフォーマンスの傾向を簡単に把握できます。
Web サイト監視ツールには、次のようなものがあります。
- パフォーマンス監視ソフトウェア: 個々の要素やページ全体の読み込み速度を追跡します。
- ネットワーク監視ソフトウェア: サーバー、ファイアウォール、応答時間、帯域幅使用率など、陰で影響を及ぼしている指標を把握できます。
- セキュリティ監視ソフトウェア: マルウェアのスキャンや、アクティビティログの監視、脆弱性の特定に役立ち、サイトがブロックリストに表示された場合はチームに警告します。
- 分析ソフトウェア: Web サイトの閲覧者について、閲覧者のアクセス元、閲覧者を引きつけた要因、サイトでの閲覧者の体験の成功度について、詳細な知見が明らかになります。
Web パフォーマンスの監視のメリット
Web サイト、Web アプリケーション、モバイルアプリのパフォーマンスを監視することは、組織に大きなメリットをもたらします。
- コストの削減。IT 管理者は、継続的に Web サイトを最適化し、パフォーマンスを向上させ、早期に問題に対応することにより、修正に大きなコストを要するような問題を回避できます。
- 検索エンジンのランキングの上昇。Web サイトの全体的なパフォーマンスが優れていれば、検索エンジンの結果に影響する速度、可用性、パフォーマンスに関する指標を維持できます。
- 顧客ロイヤルティの向上。Web サイトが適切に機能していると、顧客が期待する体験を提供できるため、リピート率が向上します。
- 評判の保護。Web サイトが正常に機能していないと、顧客はブランドに対する信頼を急速に失います。
- ショッピングカートの離脱率の低減。Web サイト監視は、買い物客にフラストレーションを与えて購入完了前にページから離脱させるような問題を開発チームが解決するために役立ちます。
- 重要な知見。Web サイト監視ソリューションから得られるインテリジェンスは、企業がユーザーのニーズとふるまいをより深く理解するために役立ちます。これにより、インタラクションの質の改善が簡単になり、ユーザーのニーズにより的確に対応できるようになります。
- セキュリティ強化。Web サイト監視によって、ダウンタイム、顧客の不満、ネガティブな評判につながるセキュリティ脅威を防ぐことができます。
よくある質問(FAQ)
リアルユーザー監視(RUM)を使用して Web サイトのパフォーマンスを監視すると、サイトやアプリケーションでの実際のユーザーインタラクションから指標を得て、それに基づく知見を取得できます。シンセティックテストは、ユーザーが行う可能性のあるアクションとパスをシミュレートすることにより、サイトのパフォーマンスを監視します。シンセティック監視では、Web サイトのライフサイクルを通じてテストの一貫性を維持できます。この手法は更新や変更後のリグレッションテストにも最適です。一方 RUM では、ユーザーとサイトの実際のインタラクションが明らかになります。また、サイトでユーザーのふるまいを促す要因を明確に理解できるため、サイトの最適化に役立ちます。
Web サイトパフォーマンス指標として特に有用なものを次に挙げます。
- アップタイム :Web サイトの利用可能時間(ユーザーにとって)のパーセンテージ。
- 最初の 1 バイトが到達するまでの時間 :閲覧者がリンクをクリックするかアドレスを入力した後、サイトが Web サーバーから最初の 1 バイトのデータを受信するまでの時間。
- ページ読み込み時間 :ユーザーがリンクをクリックした後の実際の Web サイト読み込み速度またはページ速度。
- 直帰率 :ページの表示直後に離脱した閲覧者の数。そのコンテンツが理解できなかった、ユーザー体験(UX)に問題が生じた、または閲覧者にとって魅力のないページまたは関係のないページだったことを示します。
- DNS ルックアップ時間 :ドメインのルックアップにかかる時間。ページ読み込み時間に影響する可能性があります。
- エラー率 :エンドユーザーがページをリクエストした際に発生した問題件数を、リクエストの総数と比較した値。
- スループット/平均負荷 :Web サイトサーバーが 1 秒あたりに受信するリクエスト数。サイトの負荷量を示します。
- インタラクション時間 :ユーザーがリンクをクリックしたり、データを入力したりしてから、要素やページが応答するまでの時間。
- コンバージョン率 :購入やメーリングリストへの登録など、目的のアクションを正常に完了したサイト閲覧者のパーセンテージ。
- スクロール深度 :エンゲージメントに関する指標。ユーザーが平均してどれだけページを下にスクロールするかを示します。
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