Akamai はオンラインビジネスの力となり、守るサイバーセキュリティおよびクラウドコンピューティング企業です。当社の市場をリードするセキュリティソリューション、優れた脅威インテリジェンス、グローバル運用チームによって、あらゆる場所で企業のデータとアプリケーションを保護する多層防御を利用いただけます。Akamai のフルスタック・クラウド・コンピューティング・ソリューションは、世界で最も分散されたプラットフォームで高いパフォーマンスとコストを実現しています。多くのグローバル企業が、自社ビジネスの成長に必要な業界最高レベルの信頼性、拡張性、専門知識の提供について Akamai に信頼を寄せています。
リアルユーザー監視(RUM)とは、ユーザーが Web サイト、アプリケーション、モバイルアプリケーションを操作する際にユーザーの実際のアクションとふるまいをリアルタイムで取得し分析することです。RUM は、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)、デジタル体験監視、Web サイト監視に不可欠な要素です。RUM 監視 では、ページ読み込み時間、ユーザーアクション、チェックアウトプロセス、検索機能、場所、デバイスタイプなどの指標に関する知見が得られます。開発者や IT 管理者は、これらの結果と指標を分析することで、Web サイトやアプリケーションのユーザーに対する動作を正確に把握できるようになります。その結果、IT チームはパフォーマンスに関する問題への対処、問題の修正、Web サイトとアプリの最適化を行えます。
リアルユーザー監視の必要性
ユーザーの選択肢がこれまで以上に増えるデジタル世界においては、優れたユーザー体験を提供する Web サイト、アプリケーション、モバイルアプリを提供することが競争力の鍵となります。シームレスな機能を提供するサイトやアプリは、顧客満足度とロイヤルティを高めるのに役立ちます。一方、低速で直感的でない、不具合のあるテクノロジーは、ブランド認知を低下させ、顧客離れを促進します。
また、最近では Google がページのランキング決定に Web サイトの Core Web Vitals スコアを使用し始めました。具体的に言うと、Core Web Vitals のスコアが低いサイトは、Google の検索結果で上位にランクされなくなります。
このような状況において、リアルユーザー監視はビジネスを成功させるための重要なツールとなっています。RUM では、実際のユーザーがアプリケーションや Web サイトをどのように利用しているのかをリアルタイムで把握し、それらのユーザー体験を Core Web Vitals などの指標に照らしてスコアリングすることで、企業が問題をより効果的に診断、解決し、ユーザー体験を最適化して、最終的にユーザーの満足度とロイヤルティを高めることができます。
リアルユーザー監視の仕組み
Akamai mPulse などのリアルユーザー監視ツールでは、通常、小さな JavaScript コードスニペットを Web サイトに埋め込んだり、特定の監視コードをモバイルアプリケーションに追加したりします。このコードは、ユーザーがサイトにアクセスしたときやアプリを操作したときに自動的にトリガーされ、実際のユーザーセッションからさまざまなパフォーマンス指標やディメンションに関するデータを収集します。管理者は、ダッシュボードを介して RUM データを分析することで、アプリケーションや Web サイトのパフォーマンスがコンバージョンやユーザー満足度といったビジネスの成果にどのように影響するかについて実用的な知見を得ることができます。
DevOps チームと開発チームは、レイテンシーやバックエンド機能など、アプリパフォーマンスのさまざまな側面が全体的な顧客体験にどのように影響しているかを明確に把握できるようになります。この可観測性により、アプリや Web サイトでのユーザーインタラクションの全体像を捉え、ページビューなどのシンプルな指標や、ユーザージャーニー内の重要な傾向やアクションに関する情報を詳細に把握できます。
リアルユーザー監視プロバイダーは、問題をリアルタイムで検知するアラートメカニズム、詳細なパフォーマンス特性を確認するためのプロファイリング機能、詳細な分析のためのログ管理など、さまざまな機能を提供しています。RUM ツールは、既存のワークフロー内でシームレスに動作し、他の APM プラットフォームと統合できるように設計されているため、パフォーマンスとユーザー体験に関する包括的な知見が得られます。
リアルユーザー監視で使用される指標
RUM ソリューションは、パフォーマンス、エンゲージメント、エラーに関するさまざまな指標を取得し、Web アプリケーションや Web サイトのパフォーマンスとユーザー体験に関する知見を提供します。これらの指標により、チームは問題やパフォーマンスのボトルネックとなっている根本原因を迅速に特定してトラブルシューティングできます。
パフォーマンス指標
- ページ読み込み時間:ページが完全に読み込まれ、ユーザーが使用できるようになるまでの合計時間。
- Time To First Byte(最初の 1 バイトを受信するまでの時間、TTFB):サーバーの応答時間を示す TTFB とは、ユーザーまたはブラウザーが HTTP リクエストを行ってから、ブラウザーがページの最初の1 バイトを受信するまでの時間です。
- レンダリング開始時間:ブラウザーが画面上でレンダリングを開始するまでの時間。
- First Contentful Paint(FCP):最初のテキストまたは画像が画面に描画されるまでの時間。これは、ページが読み込まれていることをユーザーが認識するタイミングを把握するための重要な指標です。
- Time to interactive(TTI):ページの準備ができて使用できそうに見えてから、ユーザー入力に応答するようになるまでの時間。
Core Web Vitals
- Largest Contentful Paint(LCP):テキストブロックや画像など、最大のコンテンツ要素が完全にレンダリングされるまでにかかる時間。
- Cumulative Layout Shift(CLS):ページの読み込み時にユーザーが予期しないシフトやレイアウトの変更を経験する頻度を測定します。
- Interaction to Next Paint(INP):この指標は、ページの存続期間におけるインタラクションから描画までの応答時間の長さを示します。
エンゲージメント指標
- ユーザーインタラクションとユーザージャーニー:ユーザーが Web サイトやアプリケーションを操作する際にたどる経路。クリックやスクロールを追跡して、潜在的なフリクションポイントを明らかにし、一般的なフローを示します。
- クリックスルー率(CTR):ユーザーがリンクやボタンなどの要素をクリックする頻度を測定し、エンゲージメントと関心を示します。
- セッションの所要時間:ユーザーが 1回 のセッションでアプリケーションに費やす時間。エンゲージメントやコンテンツの関連性に関する知見を明らかにします。
- 直帰率:ユーザーが 1 ページだけ閲覧した後に離脱するセッションの割合(ユーザーの期待やエンゲージメントに問題があることを示します)。
- トランザクション時間:各ユーザートランザクションにかかる時間(AJAX リクエストや HTTP リクエストなど)。
エラー指標
- JavaScript エラー:ユーザー体験に悪影響を及ぼす可能性のあるユーザーのブラウザーのフロントエンドエラーを追跡します。
- API エラーとネットワークエラー: API コール またはネットワークリクエストにおけるエラーは、サーバーリソースやサードパーティのサービスに問題があることを示している可能性があります。
- リソースの読み込みエラー:ページの外観や機能に影響を与える可能性がある CSS ファイル、画像、スクリプトなどのリソース読み込み時に発生する問題を追跡します。
ディメンション
- デバイス、OS、ブラウザーのパフォーマンス:さまざまなデバイス、オペレーティングシステム、ブラウザーでサイトがどのように動作しているかを確認し、互換性や最適化の問題を明らかにします。
- 地理的パフォーマンス:地域や国によってパフォーマンスがどのように変化するか。
- A/Bテストおよびサイトバージョン:コードの変更がパフォーマンスにどのように影響するかを判断するために、異なるイテレーションやバージョン間でサイトを比較する方法。
- 接続速度:ネットワーク速度の違いがユーザー体験に与える影響。
- ページグループ:何らかのビジネス上の意味を持つ論理的なグループに分けたページの任意のコレクション(通常は URL ベース)。
- ナビゲーションタイプ:ユーザーをページに誘導するナビゲーションのタイプ。
- HTTP プロトコル:Web ページの読み込みに使用された HTTP のバージョン。
- IP プロトコル:Web ページの読み込みに使用されたインターネットプロトコル(IP)のバージョン。
これらの指標は、組織で速度とパフォーマンスの両方を把握し、ユーザーがこれらをどのように 認識 するのかを理解するうえで役に立ちます。これらの知見により、データに基づく意思決定が可能になり、ユーザーの満足度と業績の向上を実現できます。
企業でのリアルユーザー監視の使用方法
RUM ソリューションが提供するエンドユーザー体験の監視は、さまざまな業界やアプリケーションの幅広いユースケースに対応しています。
- パフォーマンスベンチマーク:Web アプリや Web サイトのパフォーマンスベンチマークを確立し、変更や最適化の影響を長期的に監視できます。
- ユーザー体験の最適化:デバイス、ネットワーク、地理的な場所を問わず、ユーザー満足度の向上、直帰率の低減、ユーザー体験の最適化を実現します。
- コンバージョン率の最適化:ページの読み込み時間と Web パフォーマンスがユーザーの操作にどのような影響を与えるかを理解することで、Web チームは重要なパスを最適化し、コンバージョンにつながるデータに基づいた意思決定を行うことができます。
- エラーの特定と診断:ユーザーが実際に遭遇したエラーを追跡および分析することで、解決までの時間を短縮し、Web サイトとアプリの全体的な安定性を向上させます。
- コンテンツと機能の使用状況分析:ユーザーが機能やコンテンツをどのように操作しているかを追跡し、ユーザーのふるまいや嗜好を把握することで、製品開発とコンテンツ戦略を改善します。
- A/Bテストとロールアウト:アプリケーションのバージョン、機能、コンテンツの違いによるパフォーマンスやユーザー体験への影響を評価します。
- サードパーティのサービス監視:サードパーティのサービス( CDN、分析、ソーシャル・メディア・ウィジェットなど)がパフォーマンスに与える影響を監視します。
リアルユーザー監視のメリット
リアルユーザー監視は、Web およびアプリケーションのパフォーマンス管理戦略に大きなメリットをもたらします。
- 実際のユーザー体験の把握:RUM は、読み込み時間、応答性、エラーの発生など、実際のユーザーにとっての Web サイトパフォーマンスに関する知見を提供します。この情報は実際のユーザー体験を反映しており、予想したシナリオやシミュレーションしたシナリオとは大きく異なる可能性があるため、重要です。
- パフォーマンス最適化:ユーザーが実際に直面するボトルネックや問題を特定することで、組織は特定のパフォーマンス最適化に優先順位を付けて実装できます。たとえば、低速のページ読み込み時間への対処、配信の高速化のためのリソースの最適化、E コマースのチェックアウトプロセスに影響を与えるバグ修正などが挙げられます。
- 検索エンジンの最適化:Core Web Vitals のスコアが低いと、検索結果における Web サイトのページランキングに悪影響が生じます。RUM は、Core Web Vitals のスコアが低いことを早期に把握できるため、検索エンジンのランキングに悪影響が生じる前に問題を解決できます。
- ビジネスインパクト分析:RUM データは、パフォーマンスが業績に与える影響を理解するのに役立ちます。たとえば、ページの読み込み時間がコンバージョン率、ユーザーエンゲージメント、直帰率にどのように影響しているのかを示します。
- 地理的およびデバイス固有の知見:RUM は、さまざまな場所、デバイス、ブラウザーからアプリケーションにアクセスするユーザーの体験の違いを特定するのに役立ちます。これらの知見は、組織がすべてのユーザーに一貫して良質の体験を提供するために役立ちます。
- モバイルユーザー向けの最適化:リアルユーザー監視は、より多くのユーザーが Web サイトにアクセスし、スマートフォンやタブレットでアプリを操作するようになった際に、IT チームがモバイルデバイスやネットワークをターゲットにした最適化を展開するのに役立ちます。
- エラーの追跡と解決:リアルユーザー監視では、ユーザーが経験したエラーをリアルタイムで取得して報告できます。リアルタイムのアラート機能により、開発者は多数の顧客に影響が及ぶ前に、問題を迅速に特定、診断、修正できます。
- コンプライアンスと SLA の監視:規制基準への準拠やサービスレベル契約(SLA)への準拠が必要な企業の場合、RUM には実際のユーザー体験を監視、報告する手段が用意されているため、パフォーマンスを確実に期待どおりにできます。
- 競争優位性:スピードと信頼性に対するユーザーの期待がかつてないほど高まっているビジネス環境では、優れたユーザー体験を提供することが競争上の大きな優位性となり得ます。RUM は、Web アプリケーションとモバイルアプリケーションのパフォーマンスを継続的に監視して最適化することで、これを実現するために必要な知見を提供します。
RUM とシンセティックテストの違い
RUM とシンセティックテストのどちらも、Web サイトとアプリケーションのパフォーマンスを監視、分析、最適化するために不可欠です。RUM と シンセティックテストのそれぞれのメリットを分析したうえで、多くの組織が 2 つの手法を組み合わせて包括的なパフォーマンスデータを取得することを選択しています。
シンセティックな監視は「ラボ環境」で実行され、スクリプトを使用して、Web サイトやアプリケーションを操作するユーザーのアクションをシミュレートします。シンセティックテストは、可用性とパフォーマンスの問題を一貫して包括的にテストするのに優れており、特に大幅な変更や更新の後、実際のユーザーに影響が及ぶ前に潜在的な問題を特定するのに効果的です。
一方、RUM はユーザーの実際のふるまいを監視することで実際の視点を提供し、シンセティックテストでは発生しない可能性のあるフロントエンドとバックエンドの両方の問題をエンドツーエンドで可視化します。
よくある質問(FAQ)
リアルタイムユーザー監視は、リアルユーザー監視という用語と同じ意味で使用されます。
Core Web Vitals 監視とは、 Google Core Web Vitalsの一部であるいくつかの主要指標を追跡する手法のことです。これらは、ページの読み込み速度、双方向性、視覚的な安定性に関連する Web ページのパフォーマンスを測定する指標です。Web サイトの Core Web Vitals を監視して最適化することで、開発チームはユーザー体験を向上させながら、Web サイトの検索エンジンのランキングを上げることができます。