クラウドコンピューティングが必要ですか? 今すぐ始める

Akamai はいかにして CDN からクラウドとセキュリティの企業に変貌したか

Tom Leighton

執筆者

Tom Leighton

August 19, 2024

Tom Leighton

執筆者

Tom Leighton

Dr. Tom Leighton は 1998 年に Akamai Technologies を共同で設立。Akamai のチーフサイエンティストを経て、2013 年に最高経営責任者(CEO)に就任しました。Akamai は Dr. Leighton の指揮のもとで、設立当初のコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)から、信頼性が高く不可欠なクラウド配信およびサイバーセキュリティのプラットフォームへと進化を遂げました。今では、世界有数のブランドやエンタープライズの多くが Akamai のプラットフォームでセキュリティを確保しながら独自のデジタル体験を実現しています。

セキュリティとクラウドコンピューティングは、Akamai の収益の 3 分の 2 を占めています。
セキュリティとクラウドコンピューティングは、Akamai の収益の 3 分の 2 を占めています。

イノベーションを継続して新しい市場を開拓し、収益を多様化することは、長期的な収益成長に向けた Akamai の戦略の中核となってきました。

Akamai は当初、 コンテンツ・デリバリー・サービスを発明して名を揚げ、現在もその市場における世界的リーダーです。当社は世界のトップブランドが信頼性、安全性に優れ、完璧に近いデジタル体験を提供するのを支援することで、そうした企業が求める規模とパフォーマンスを提供することで優位に立っています。最近の事例としては、世界中の大手放送局がユーロサッカー大会とパリでの夏の大会を配信する支援を行いました。

セキュリティ

10 年ほど前、当社は Web Application Firewall(WAF) をクラウドサービスとして作り、事業分野をセキュリティにまで拡大しました。これは、Akamai がお客様のニーズの増大を認識したために行ったものであり、当社が常々お客様に提供してきたことを補完したものでした。

このビジネスチャンスに気づいたのは、当社がお客様の声に耳を傾けていたためでした。当社が生み出したクラウドサービスは、WAF に適していることが実証されています。 現在、セキュリティ事業は前四半期に Akamai 史上初めて Akamai の収益の過半数を占めました。この調子では、年間約 20 億米ドルを見込めます


現在、セキュリティとクラウドコンピューティングは Akamai の収益の 3 分の 2 を占めていますが、5 年前は、配信が収益の 3 分の 2 を占めていました。


もちろん、当社は長年にわたりセキュリティ製品セットを大幅に拡張してきました。現在、 分散サービス妨害(DDoS) 防御、ボット管理、アカウントとコンテンツの保護、アプリと API のセキュリティ、ゼロトラストのエンタープライズセキュリティ向けに、市場をリードするソリューションを提供しています。これらを統率していたのは、 Akamai Guardicore Segmentation ソリューションでした。。

そして最近、新しい製品がセキュリティポートフォリオにさらに加わりました。新しい Akamai Guardicore Platform は、この種の製品としては初めて ゼロトラスト・セキュリティ を実現しました。これは、マイクロセグメンテーション、 ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス(ZTNA)多要素認証(MFA)、DNS ファイアウォール、脅威ハンティングを完全に統合して組み合わせたことにより可能になりました。

単一エージェントおよび統合制御のコンソールは、生成人工知能(生成 AI )を活用して、エンタープライズセキュリティを強化し、シンプル化するように設計されており、広範に可視化してきめ細かく制御できます。この新しい生成 AI インターフェースでは、お客様の運用チームが自然言語で質問をして、エンタープライズットワークに関する情報を収集できます。

新しい Akamai Guardicore Platform には、セキュリティベンダーとしての当社の進化が反映されています。つまり、一つに特化したソリューションから、より広範で包括的なセキュリティ製品へと成長しているのです。お客様からは、セキュリティ製品とツールを信頼できるベンダー製品に統合したいとの声が寄せられています。このことは、お客様のニーズに適していると当社は考えています。

また、前四半期に、当社は Noname Security の買収 を実施して、急速に成長する API セキュリティ市場で当社の勢いを加速させました。現在では、Noname との連携により、Akamai には業界で きわめて包括的な API セキュリティソリューション があると考えています。

Akamai は、買収が完了して 2 週間もしないうちに、Akamai App & API Protector と統合した新しい Edge Connector を、Noname のお客様に提供しました。

クラウドコンピューティング

セキュリティ市場に参入後約 10 年を経て、Akamai は クラウドコンピューティングの幅広い製品をまとめることで、将来のビジネスチャンスを再び拡大しました。

Akamai は、Function as a Service(FaaS)を長年、エッジプラットフォームで提供してきました。この種の エッジコンピューティング は、何千というお客様に使用されており、当社のデリバリーサービスやセキュリティサービスと緊密に連携します。

しかし、お客様はさらに多くを求めていて、Akamai プラットフォーム上で仮想マシン(VM)とコンテナを実行できるように、フルスタックのクラウドコンピューティングを希望していました。しかもハイパースケーラーよりも効率的でコストのかからない方法を望んでいました。

配信、セキュリティ、コンピュートを同一プラットフォームで提供

お客様からこのような要望が寄せられた理由は、Akamai が当社のプラットフォーム上ですでにお客様のサイトとアプリを配信してセキュリティ保護していたためでした。お客様は Akamai の頼りになる実績を高く評価し、良いパートナーとして信頼できることを知っていたのです。お客様の多くは、ハイパースケーラーとは異なり、当社がお客様とは競合しないという点にも好感を抱いています。

Akamai のポートフォリオにクラウドコンピューティングを追加することは、当社にとっても有意義なことでした。お客様のニーズに応えるだけでなく、配信、セキュリティ、コンピュートを同じプラットフォームで行えることで、メリットを享受でき、次のような相乗効果が得られます。

  • パフォーマンスの向上、シームレスな統合、その他の運用効率
  • バンドルができ、クロスセルと強力な顧客維持に対応可能
  • キャリアネットワークとの関係強化
  • 大規模なサイバー攻撃をエッジで迅速に検知して阻止
  • 膨大なトラフィックに関する比類のない可視性の結果、セキュリティに関する知見と脅威インテリジェンスを獲得

市場がどのように発展してきたかを見てみると、ハイパースケーラーが同様のサービススイートをどのようにして実現してきたかがわかります。ただし、そこに到達するためのルートは異なっていました。ハイパースケーラーは、当初はクラウドコンピューティングと Infrastructure as a Service(IaaS)、その後セキュリティと配信に移行しました。このことは、3 つすべてをお客様に提供することに相乗効果があるという当社の見解の正しさを示しています。

ハイパースケーラーは、さらに集約型のアーキテクチャも保有しています。Akamai は、 世界で最も分散したクラウドプラットフォームを持ち、130 か国の 700 都市以上で 4,100 以上の拠点に展開されています。分散化が進むことで、お客様がパフォーマンス、経済性、信頼性の向上を得られると、当社では考えています。

急成長を達成

新しいクラウドサービスに対するお客様からの最初の反応は、励みになるものでした。当社のクラウド・コンピューティング・ポートフォリオは、上半期に急成長し、今後も力強く成長していくと予想しています。

低遅延のワークロード

お客様は、当社の独立系ソフトウェア・ベンダー・パートナー(認定コンピューティングパートナーと呼ばれる)を活用して、コンピュートプラットフォーム上で低レイテンシーのワークロードを実行しています。ワークロードには、ワークロードのふるまい、サイバーセキュリティ、大規模なイベントを監視するためのソリューションが含まれています。このような場合には、非常に大規模なデータセットを保存する必要があるため、Akamai は競合他社よりも魅力的でコスト効率の高い選択肢となっています。

メディア配信の効率化

メディア業界に属する当社のお客様は現在、 Akamai Connected Cloudでメディアワークフローのフルスイートを活用できます。当社の配信プラットフォームと併用した場合は、価値ある相乗効果が得られ、より効率的な画像操作、意思決定、ビデオトランスコーディングが可能になります。

Akamai の最新の認定コンピューティングパートナーとお客様、Yospace を利用すると、世界中のメディア企業が、Akamai Connected Cloud で高度な AdTech と広告戦略を大規模に活用できます。

お客様体験の向上

お客様は、当社のプラットフォームで新しいアプリの構築も行っています。この場合、低レイテンシーのデータ配信と処理によって、コストを大幅に削減しながら、お客様のユーザー体験が向上します。あるお客様は、セキュリティスキャン製品を強化する機械学習エンジンのトレーニングとテストを行っています。

別のお客様は、お客様体験を向上させ、インテリジェントな会話型のお客様エンゲージメントで業務を合理化するために、AI を活用したチャットボットアプリケーションを構築しています。このような AI をベースにしたアプリケーションは、大規模言語モデルの最近の進歩に伴い、普及が進んでいます。

コスト削減(当社のコストも削減)

Akamai もまた、自社の新しいクラウドソリューションを大いに活用しています。自社所有のアプリのほとんどをハイパースケーラーから Akamai Connected Cloud に移行した結果、パフォーマンスが向上し、コストを大幅に削減しています。

サードパーティ製クラウドへの支出は、ハイパースケーラーの使用を今年継続したと仮定した場合の 3 分の 1 未満に減少すると予想され、年間 1 億米ドル以上の運用コストを節約できます。競合宛に 9 桁の小切手を毎年切らなくて済むことは、間違いなく気持ちの良いものです。同じ気持ちを、当社のエンタープライズのお客様にも期待しています。

Akamai が経験した根本的な変革

過去を振り返ると、Akamai は明らかに根本的な変革を経験してきました。コンテンツ配信のパイオニアから、オンラインライフの力となり、守るクラウド企業へと転換しました。

現在、セキュリティとクラウドコンピューティングは Akamai の収益の 3 分の 2 を占めていますが、5 年前は、配信が収益の 3 分の 2 を占めていました。


Akamai は、コンテンツ配信のパイオニアから、オンラインライフの力となり、守るクラウド企業へと転換しました。


当社は、この変革を達成しながら、安定した高い利益も維持しています。急速に成長している製品分野(大規模なセキュリティポートフォリオと、急成長しているクラウド・コンピューティング・ポートフォリオ)が両方とも、当社のビジネスの基盤、すなわち効率性が高い超分散型のデリバリープラットフォームで構築され、実現されているためです。

今後については、オンラインライフの力となり、守るクラウド企業として、当社の将来的な成長の可能性に大いに期待しています。Akamai はセキュリティポートフォリオの拡大を続け、急成長する当社のコンピューティング製品はお客様を後押しし続けているのですから。



Tom Leighton

執筆者

Tom Leighton

August 19, 2024

Tom Leighton

執筆者

Tom Leighton

Dr. Tom Leighton は 1998 年に Akamai Technologies を共同で設立。Akamai のチーフサイエンティストを経て、2013 年に最高経営責任者(CEO)に就任しました。Akamai は Dr. Leighton の指揮のもとで、設立当初のコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)から、信頼性が高く不可欠なクラウド配信およびサイバーセキュリティのプラットフォームへと進化を遂げました。今では、世界有数のブランドやエンタープライズの多くが Akamai のプラットフォームでセキュリティを確保しながら独自のデジタル体験を実現しています。