仮想プライベートネットワーク（VPN）では、自身の IP アドレスが VPN プロバイダーの管理する IP アドレスに置き換わります。デバイスが、別のジオロケーションからインターネット接続しているかのように見えます。実際の IP アドレスと異なる IP アドレスを使用することにより、オンラインアクティビティを秘匿できます。
IP アドレスの概要とその仕組み
ここでは、IP パケットがアドレス指定される仕組みと、パケットが宛先を検索する仕組みを紹介します。一連の例えを用いて説明しますが、最後は再び郵便サービスの話を取り上げます。
今回取り上げるのは、「パケットはどのようにして宛先を見つけるのか？」という質問です。
インターネットは、数百万個のルーターとパイプで構成され、数十億個ものホストを相互に接続しています。ホストは、インターネット経由で通信する単なるエンドポイントです。たとえば、サーバー、ノート PC、スマートフォンなどのデバイスがホストになります。ホスト間でパケットが送信される場合、パケットはインターネット、特にそれを構成するルーターとパイプを経由して、パスを移動する必要があります。パイプは、ルーター間やルーターとホストを接続する物理リンクです。
ルーターは、複数のパイプを接続し、ルーティングを決める必要があります。つまり、パケットがリンクに入ってきたら、ルーターはどのリンクでパケットを送信するかを決める必要があります。これは、ルーターのルーティングテーブルの役割となります。ルーティングテーブルの役割について、一連の例えを用いて説明します。
まず、インターネットを道路網に例えてみましょう。この場合、ホスト A からホスト B へのパケット送信は、A 市から B 市への移動と同じです。ルーターは、複数の道路が交わる交差点になります。移動中に交差点に差し掛かったら、どっちに曲がるか、どの通りに入るかを決めなければなりません。ルーティングテーブルは、交差点にある方向標識と同じです。
しかし、この例えで説明できるのはここまでです。方向標識では、行先の都市名をすべて列挙できないからです。同様に、ルーティングテーブルでは、パケットの送信先となり得るホストをすべてリストできません。つまり、パケットの送信先アドレスを「Apple Web サーバー」などにすることはできません。
これは、ホテルの部屋の例で説明できます。この場合、ホスト A からホスト B へのパケット送信は、部屋 A から部屋 B への移動と同じです。ルーターは、ホテルの廊下の分岐点になります。ルーティングテーブルは、廊下の分岐点にある「201～220 号室は右、221～240 号室は左」の案内表示と同じです。211 号室に向かうには、右に曲がることがわかります。
なぜ、この例えが有効なのでしょうか？1 つは、1 か所ですべての部屋番号が範囲で示されていることです。部屋ごとではなく、各部屋の番号範囲で方向がわかればよいのです。また、行先の部屋番号が、案内表示の番号範囲ですべてカバーされていることも重要です。201～240 の範囲以外の部屋番号は存在しません。
インターネットでも同じことが言えます。ホストのアドレス指定に、名前ではなく番号を使用するのはそのためです。
これらの番号は IP アドレスと呼ばれる、（32 ビット）の数値です。通常、73.227.130.85 のようにドット付きで表記されます。ドット間の数値はオクテットと呼ばれます（8 ビットのため）。ホストは、連続する IP アドレスの範囲内に配置されています。たとえば、128.30.*.* や 128.31.*.* で始まるアドレスのホストはすべて、マサチューセッツ工科大学（MIT）に属します。ルーターに必要なのは、各範囲の方向だけです。これらの範囲は、プレフィックスまたはクラスレスドメイン間ルーティング（CIDR）と呼ばれます。
ここで、郵便サービスの例に戻ります。ホスト A からホスト B へのパケット送信は、A 宅から B 宅への手紙の郵送になります。ルーターは郵便局です。手紙を積んだトラックが到着したら、手紙を仕分けして、別のトラックで運ぶ必要があります。ルーティングテーブルは手紙の仕分け（ソート）ルールと同じです。では、手紙がどのようにアドレス指定され、ソートされるのか詳しく見ていきましょう。
引き続き、郵便に例えて説明します。128.30.27.149 にアドレス指定されたパケットを、「Lucille Ball, 1000 Roxbury Drive, Beverly Hills, CA 90210」宛の手紙と考えます。この手紙を郵送するために、ほとんどの郵便局では住所をすべて確認する必要はありません。実は、番地まで確認する必要があるのは、90210 郵便局だけなのです。他の郵便局は、郵便番号のみ確認すればよいのです。つまり、送り主から 90210 郵便局までは、郵便番号のみで手紙が届けられるのです。
IP アドレスでも同じことが言えます。各アドレスは、左側と右側に分かれています。左側はプレフィックスと呼ばれ、郵便番号に該当します。前に述べたとおり、プレフィックスが 128.30 の IP アドレスはすべて MIT に属しています。したがって、IP アドレス全体を確認する必要があるのは、MIT ネットワーク内のルーターのみとなります。インターネット上のそれ以外のルーターは、プレフィックスのみ確認すればよいのです。つまり、送信元から MIT のネットワークまでは、プレフィックスのみでパケットが送信されるのです。
参考情報：IP アドレスにおけるプレフィックスと他の部分の境界線は、必ずしも中央やオクテット境界にあるとは限りません。ここで取り上げる例ではすべて、わかりやすくするため、境界線が中央にあり、最初の 2 オクテット分がプレフィックスになっています。
これで、IP パケットのアドレス指定は、名前ではなく番号（IP アドレス）で行わなければならないことがわかりました。「Apple Web サーバー」などではなく、17.253.207.54 などになるのはそのためです。「Bobby のノート PC 」ではなく、73.227.130.85 になります。
ルーティングテーブルの仕組みもわかりました。ルーティングテーブルは、プレフィックスをリンクにマッピングするだけです。ルーターは、送信先 IP アドレスと一致するプレフィックスに対応するリンクでパケットを送信します。この例では、送信先 IP アドレスが 17.253.207.54 で、テーブルの 2 行目のプレフィックス 17.253 と一致しているため、パケットはリンク C で送信されます。
ポイントは、ルーティングテーブルでは、送信可能なホスト名や IP アドレスをすべてリストする必要はなく、送信可能なプレフィックスがすべてリストされていればよいということです。手紙を郵送する際、番地まですべて確認する必要はなく、郵便番号で郵送経路を決定できるのと同じです。
インターネットとは、数十億個ものエンドポイントを接続する、ルーターとパイプの複雑なシステムです。アドレス指定システムでは、トラフィックが正しい送信先に到達するように、パイプの経路を決定します。インターネット・プロトコル・アドレス（IP アドレス）は、一意の識別子として機能する一連の番号です。インターネット上のすべてのデバイスには、一意の IP アドレスが割り当てられています。実際の住所と郵便番号によって手紙が受取人に届くのと同様に、IP アドレスによって IP パケットが適切な場所に送信されます。IP アドレスは、インターネット・サービス・プロバイダー（ISP）がデバイスに割り当てています。このシステムが正常に機能することが、インターネットの信頼性を確保するうえで不可欠です。
IP アドレスの歴史
インターネット上で使用されるインターネットプロトコル（IP）には、IPv4 と IPv6 という2 つのバージョンがあります。IPv6 が最新バージョンで、2023 年 7 月現在、 21.6% の Web サイトで使用されています。IPv4 ではスペースに限りがあり、IP アドレスの上限は 43 億個でした。しかし、最新バージョンの IPv6 は拡張性が高く、数兆個もの IP アドレスに対応できるようになりました。この拡張は、新しいタイプのインターネット接続デバイスに対応するうえで不可欠でした。IP アドレスは、あらゆるタイプのネットワークデバイスに割り当てられています。このように、IP アドレスはインターネットの本質的な構成要素です。接続されたデバイス間で正確かつ効率的にデータを転送するためには、IP アドレスが不可欠です。
IP アドレスは、インターネット番号割当機関（IANA）によって割り当てられます。IP アドレスの全範囲は 0.0.0.0～255.255.255.255 です。
IP アドレス、IP パケット、HTTP が接続される仕組み
ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル（HTTP）はアプリケーションレベルのプロトコルであり、要求／応答フローを使用してインターネット上でデータ送信を行います。HTTP は、TCP/IP 規格群に属します。IP パケットは HTTP フローでデータを送信し、Web ページの表示などのタスクを実行します。TCP/IP 上の各サーバーやクライアントには、IP アドレスが割り当てられています。この IP アドレスが IP パケット内に含まれています。
IP アドレスの概要とその仕組み
IP パケットには、送信元と送信先の IP アドレスが含まれます。IP アドレスは 32 ビットの数値で構成され、73.227.130.85 のようにドット付きで表記されるのが一般的です。ドット間の数値はオクテット（8 ビット）と呼ばれます。IP アドレスの仕組みを理解するためには、封筒に入っている手紙をイメージするとよいでしょう。たとえば、「Lucille Ball, 1000 Roxbury Drive, Beverly Hills, CA 90210」宛ての手紙があるとします。送付元の郵便局がこの手紙を郵送するとき、この郵便局では住所全体ではなく、郵便番号「90210」を確認します。これにより、手紙は送付元から 90210 の郵便局へ速やかに郵送されます。この手紙を受け取った現地の郵便局が、番地や家屋番号を確認して、正しい受取人である Lucille Ball さん宛に手紙を届けます。
IP アドレスの仕組みも同じです。各アドレスは、左側と右側に分かれています。左側は郵便番号のようなものです。たとえば、「128.30.*.*」や「128.31.*.*」の IP アドレスは マサチューセッツ工科大学（MIT）に属します。郵便局が郵便番号を確認するのと同じように、ルーターは左側のプレフィックスまたは CIDR（クラスレスドメイン間ルーティング）を確認して、ローカルルーター宛に送信します。ローカルルーターでは、IP アドレス全体が使用されます。IP アドレスの右側は、ノート PC や携帯電話など、ネットワーク上の特定のデバイスを指します。
IP ルーティングとは
IP ルーティングは、異なるネットワークのホスト間でパケット送信を行う際に使用されます。通常、ルーターは次のプロセスを実行します。1 つは、複数のパイプと接続し、ルーティング経路を決めること。もう 1 つは、パケットの送信先 IP アドレスを確認してからネクストホップを決め、パケットを送信することです。パイプは、ルーター間やルーターとホスト（エンドポイント）を接続する物理リンクです。IP パケットが到着すると、ルーターはどのリンク（パイプ）で IP パケットを送信するか決める必要があります。これは、ルーターのルーティングテーブルの役割となります。
ルーティングテーブルとは
ルーターはルーティングテーブルを使用して、パケットの送信に最適なネクストホップのアドレスを決めます。
ルーティングテーブルには、送信可能なホスト名や IP アドレスではなく、送信可能なプレフィックスがすべてリストされていればよいのです。つまり、ルーティングテーブルでは、郵便番号に相当する IP アドレスのプレフィックスが使用されます。ルーティングテーブルによるルーターの誘導は、ホテルの廊下の分岐点にある部屋番号の案内表示と同じです。ルーターは廊下の分岐点です。ルーティングテーブルは、その分岐点にある「201～220 号室は右、221～240 号室は左」と書かれた案内表示と同じです。211 号室に向かっているのであれば、右に曲がればよいのです。つまり、ルーティングテーブルはプレフィックスをリンクにマッピングし、ルーターは送信先 IP アドレスと一致するプレフィックスに対応するリンクでパケットを送信します。
Akamai、IP アドレス、インターネット経由の攻撃
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Akamai とサイバーセキュリティ
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よくある質問（FAQ）
IP アドレスには、パブリック、プライベート、固定、動的の 4 種類があります。
IP アドレスにおけるプレフィックスと他の部分の境界線は、必ずしも中間やオクテット境界にあるわけではありません。
ダイナミック・ホスト・コンフィギュレーション・プロトコル（DHCP）とは、インターネットプロトコル（IP）のホストに IP アドレスを割り当てるクライアント／サーバープロトコルです。
ドメイン・ネーム・システム（DNS）のネットワークは、IP アドレスを「apple.com」などのドメイン名にマッピングします。
Akamai が選ばれる理由
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