動画ストリーミングの未来を創る Ex Machina

Akamai と提携して超低遅延の同期双方向性を実現

当社が業界をリードする動画プラットフォームとツールを確立できたのは Akamai のおかげです。数百万人が好きなテレビ番組、イベント、ライブストリーミングを視聴しながら、リアルタイムでやりとりできます。業界でも群を抜く規模ですが障害が発生することはありません。

Jeroen Elfferich 氏, CEO, Ex Machina

満たされていない市場ニーズに対応する

Ex Machina は、世界のブランド企業やメディア企業向けに、革新的なマルチスクリーンソリューションや人気の高い最先端のアプリを構築してきました。現在は、セカンドスクリーンアプリや双方向ゲームツールから、買い物可能な動画分野の次世代型双方向ソリューションまで、マルチプラットフォーム、マルチデバイスのエンドユーザー双方向性の実現に取り組んでいます。最近の画期的成果は、満たされていないニーズへの対応方法の発見です。同一画面での双方向性に対応した超低遅延(ULL)の同期ストリーミングを実現しました。

「当社が継続的に進化し、革新的な機能を追加して、ユーザーが双方向でやりとりする新たな方法を生み出すことができたのは、包括的なフレームワークのおかげです」 と、Ex Machina の CEO である Jeroen Elfferich 氏は説明しています。

大規模な同期 ULL ストリーミングの実現

「セカンドスクリーン体験の実現以降、双方向性は単一のインターフェースで直接動画に統合されるべきだと思うようになりました。グローバルにスケーリングでき、世界中の数百万台のデバイスで超低遅延(ULL)の同期ストリーミングを実現するストリーミングソリューションを提供できると考えたのです」と、Elfferich 氏は述べています。

Ex Machina は、ライブ動画と双方向性を備えたいくつかのアプリおよび昨年公開された Twitch の拡張機能を使用して、エンドユーザーのふるまいを調査しました。その結果、エンゲージメントが高く積極的にライブストリームに参加している視聴者は、受動的な視聴者よりも視聴時間が 150% 長いことが分かりました。基本的な動画インタラクション(投票など)は 90% のエンゲージメント率に達する可能性があります。より複雑なゲーミフィケーションのエンゲージメント率は 30%~50% です。Ex Machina は、双方向性を必要とするすべての動画アプリケーションがこうしたソリューションからメリットを得られる可能性があると認識しました。たとえば、カメラの切り替えを必要とするスポーツ放送や、視聴者を招いてその回答に合わせてインタラクティブに進行するゲームショーなどです。このアプリケーションは、全員参加の双方向会議の実施など、企業向けに拡張することもできます。

そのようなビジョンを基に、Ex Machina はストリーミング動画の枠を超え、超低遅延、同期、双方向の機能を特長とする新たなソリューションの開発を計画しました。そして WebRTC に基づく双方向レイヤーと動画を結合するソリューションの構築に着手したところ、問題が生じました。Ex Machina のプロジェクトマネージャー、Jeroen Mol 氏は次のように述べています。「WebRTC は速度やリアルタイム機能においては無敵ですが、数十万人のプレイヤーに対応し、トラフィックの急増にも耐えられるような 1 対多のプラットフォームとしては構築できなかったのです。しかも、WebRTC には専用のホスティングソリューションが必要なため、柔軟性が劣り、費用もかかります」。

数千人規模の同時ユーザーに対応するソリューションやアプリについて、幅広い開発経験を持つ Ex Machina には、ライブ動画ストリーミングに関して満たす必要のある 3 つの主な要件がわかっていました。それは、最小遅延、最高動画品質、そして最低価格です。数百人から数千人規模へと同時ユーザー数をすぐに拡大できることや、世界各地で利用できることに加え、ULL も実現する必要がありました。

他社にはない Akamai の特長を活用する

市場調査の結果、Ex Machina は Akamai の低遅延ストリーミングソリューションを利用することにしました。Akamai は、低遅延や Common Media Application Format(CMAF)を推進する先駆者の 1 社であり、2015 年当初から低遅延ストリーミングの達成に取り組んできました。現在 Akamai は、チャンク形式のエンコードおよび転送による CMAF を使用した低遅延ストリーミングワークフローをサポートしています。Ex Machina は ULL 双方向動画ソリューションを実現するために、Akamai の標準ベースの DASH-CMAF アプローチを採用しました。このアプローチにより、Ex Machina は、WebRTC で生じた 2 つの大きな問題、つまり、複数の同時プレイヤーへの対応と、それを他の ULL ストリーミングソリューションよりも明らかに低いコストで実現するという課題を克服することができました。

「現時点では、チャンク方式の動画配信に最も適したプロトコルは DASH です。これを CMAF と結合し、エンコーダー、CDN、およびクライアントのふるまいと組み合わせることで、システム全体の低遅延を達成できます。また、この方法はシングルコンテナであるため、エンドユーザーのデバイスについて心配せずに済みます」と、Mol 氏は説明しています。

Elfferich 氏も次のように強調します。「誰もが低遅延を望みますが、遅延が予測可能で一定していることも重要です。この要件を満たすことができるのは Akamai のソリューションだけでした」。Elfferich 氏によると、Akamai には、低遅延の動画機能に他のメディアトラフィックと同じエッジ配信プラットフォームを使用しているという利点もあります。つまり、規模や信頼性のメリットを低遅延動画トラフィックにも活かすことができるのです。「私達は Akamai の既存のインフラを活用できます。しかも、それを世界のどこでも予測可能かつ信頼できる価格で実現し、お客様に提供できます」。

革新的なソリューションによる市場開拓

Ex Machina は、2020 年第 1 四半期に ULL 製品である Livery を発売し、この製品は現在世界中で多くの顧客に利用されています。同社は Akamai の ULL エンコーダー認定に完全に準拠していますが、認定と同様に重要なのは、実際に使用した時に得られる「ワクワク感」です。Ex Machina はソリューションのデモンストレーションでこれを示しました。「2 台のデバイスを完全に同期させて低遅延の動画を表示し、ボタンを 1 つ押すだけでインタラクティブ体験に切り替えます。当社がこのような着想を得られたのは、ULL イノベーションに最適なユースケースを推進しようとする Akamai の熱意のおかげです。Akamai がなければ実現できなかったと思います」と、Elfferich 氏は話しています。

ULL 動画ストリーミングを世界に配信する Akamai のユニークな機能と、遅延を計算して再生速度を調整することで動画プレーヤーが一定の遅延を保つようにする Ex Machina の能力を結びつけることによって、Ex Machina は大規模な同期 ULL ストリーミングの配信を実現しました。

Ex Machina は、Glass to Glass 遅延における可能最小値を判断するために複数の国でテストを実施しました。このテストおよび関連する計算の目的は、本番環境セットアップでのパフォーマンスを国別に判断することです。テストは Windows 10 デスクトップの Livery Web プレーヤーで行い、ブラウザーには Chrome が使用されました。1.0 Mbps の DASH ライブストリームを使用し、再生後 30 秒で結果を記録します。リバッファリングイベントや中断が発生した場合、またはバッファが 30% を下回った場合、テストは不合格となり、遅延目標値を高めてテストを再開します。

初回のテストでは、オランダに所在するエンコーダーでスペインにある Akamai のエントリポイントにコンテンツをインジェストしました。記録された Glass to Glass 遅延は次のとおりです。オランダ(0.43 秒)、インド(0.84 秒)、カナダ(0.62 秒)、ウクライナ(0.71 秒)、ベトナム(1.20 秒)、スリランカ(2.08 秒)、シンガポール(1.04 秒)、ナイジェリア(2.37 秒)、ケニア(1.38 秒)、ルーマニア(0.81 秒)、グアテマラ(0.73 秒)。これらの値は Glass to Glass 平均遅延値であり、Ex Machina のエンコーダーハードウェアによる 0.06 秒の遅延が追加されています。

2 回目のテストでは遅延を測定し、その結果を、許容可能なストリーミング品質と関連付けました。ビットレート 1.5 Mbps、音声トラック 96 kbps の 1080p 動画を使用して 30 分間のテストを行いました。インジェスト地はオランダのアムステルダムとし、13 か国で合計 80 回のテストを実施しました。テストには、iOS、Android、Web プレーヤーを使用し、これらすべてをイーサネット、4G、または Wi-Fi で接続し、Glass to Glass 遅延値を 1~3 秒にして調査しました。

ストリーミングの品質はリバッファリングのパーセンテージ、つまり総セッション時間に対する合計中断時間の割合として定義し、リバッファリングのパーセンテージが 1% 未満であれば、低遅延ストリーミングで良好な品質とみなします。

テスト結果:13 か国のうち 10 か国は、遅延値 2 秒または 3 秒でリバッファリングパーセンテージが 1% 未満になりました。詳しい結果は以下の表をご覧ください。

遅延値 2 秒または 3 秒での各地域のリバッファリング率
平均ユーザーあたりの停止時間 平均ユーザーあたりのリバッファリング率
米国 3.6 0.39%
カナダ 9.2 0.65%
オランダ 1.1 0.06%
ドイツ 1.0 0.06%
インド 11.6 0.51%
フランス 1.0 0.01%
英国 7.2 0.65%
ロシア 2.7 0.15%
日本 2.1 0.80%

インジェスト地に比較的近い国では、Glass to Glass 遅延設定が 1 秒でも、リバッファリングパーセンテージ 1% 未満でのストリーミングが可能でした。インドのみ、ストリーミング品質が許容可能なリバッファリングパーセンテージをわずかに上回りました。詳しい結果は以下の表をご覧ください。

遅延値 1 秒での各地域のリバッファリング率
平均ユーザーあたりの停止時間 平均ユーザーあたりのリバッファリング率
英国 3.0 0.06%
フランス 0.9 0.07%
オランダ 1.5 0.07%
インド 32.0 1.44%

Glass to Glass 遅延を 1~3 秒に設定して、iOS、Android、Web のクライアントのパフォーマンスの違い(リバッファリングパーセンテージ)を調べたところ、いくつかの異常値(オレンジ色のセル)を除けば、低遅延レベルでもストリーミング品質は良好であることがわかりました。以下の表は、低遅延値でのパフォーマンスをクライアント別に示したものです。

遅延値 1~3 秒でのデバイスタイプ別リバッファリング率
デバイスタイプ 遅延:3 秒 遅延:2 秒 遅延:1 秒
iOS 0.63% 0.88% 1.49%
Android 0.34% 0.73% 1.86%
Web 0.86% 1.30% 11.33%

Mol 氏はさらに次のように説明します。「従来の DASH アプローチでは、セグメントのサイズを小さくすることで遅延を軽減できました。セグメントサイズが 1 秒であれば、Glass to Glass 遅延を 4~5 秒にすることができます。動画チャンクに基づく ULL-CMAF の使用を開始したところ、オランダで 2.61 秒の Glass to Glass 遅延を達成できたのです。昨年の最適化によって私達はオランダでの Glass to Glass 限界を 0.43 秒に押し上げることができました」。

Akamai と Ex Machina の協力により、1~3 秒の Glass to Glass 遅延を目指す場合には ULL-CMAF が WebRTC の代替となり、スケーラビリティもコスト効果も優れていることが明らかとなりました。

多くの顧客が Ex Machina を利用しています。「これからは、もっと多くのコンテンツオーナーやディストリビューターと関わり、大規模な双方向の共有を可能にしながら、それぞれのビジネスモデルを制御できるようにします」と、Elfferich 氏は締めくくりました。

Ex Machina Group について

世界のブランド、メディア、e コマース企業向けの革新的な双方向ソリューションを開発しています。Ex Machina Group のソリューション、概念、設計、アプリ、プラットフォームは、世界で数千万人のユーザーに利用され、何千時間もの双方向のやりとりを強化しています。また、世界で最も汎用性が高く実績ある双方向ライブ向けプラットフォームをサポートしています。Ex Machina Group は、Red Bull、ITV、Twitch、FremantleMedia、Microsoft、RTL、Talpa Media、Sony Pictures Television、WinView、NBC など、エンターテインメントの大手企業から信頼されています。2001 年に創設され、当初は Web およびモバイル向けのマルチプレイヤーゲームを手がけていました。2007 年には、初のセカンドスクリーン型プレイアロングアプリを作成し、2019 年には双方向 ライブ・ストリーミング・ソリューションである Livery をリリースしました。現在は、セカンドスクリーンアプリや双方向ゲームツールから、ライブ動画分野の次世代型双方向ソリューションまで、マルチプラットフォーム、マルチデバイスの双方向動画に幅広く取り組んでいます。

Ex Machina Group の活動は、概念とアーキテクチャに基づく戦略とビジネスケース、設計、開発、運用まで、クリエイションのプロセス全体に及び、経営会議から製造現場に至るまで企業の仕組みを熟知しています。Ex Machina Group のソリューション、概念、設計、アプリ、プラットフォームは、最大のリーチと視聴者エンゲージメント、そして成長と利益をもたらす新たな機会を提供します。Ex Machina Group はアムステルダム(オランダ)を本拠地とし、ロッテルダム(オランダ)とモントリオール(カナダ)に拠点を有しています。


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