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ユーザーの利便性に貢献する、より高速なWebサイトを求めて
間接資材などの消耗品を扱うBtoBのECサイトを運営する株式会社MonotaRO(以下、MonotaRO)。軍手、マスク、事務用品、工具、自動車・トラック用品、ネジ、ボルトなど、多種多様な間接資材を取り扱う。2017年9月現在、取扱い商品点数は1300万点超、250万顧客で、年間PVは1億PVを遥かに超える。MonotaROは、より速いサイトを求め続け、日々品質を向上させている。高速で軽快なサイトがユーザーの利便性に繋がり、ひいては同社の売上げ向上につながると考えているためだ。同社データマーケティング部門 国内ECグループの牛島 真一氏は、「できるだけ軽いページを作りたいと考えています。軽いページを作るためにWebサーバ内にあるコンテンツを改善する手法は色々あります。たとえば、不要なCSSの削除、複数のJavaScriptをひとつにまとめる、DOM構造を改善しタグを少なくする、データベースアクセスを減らすなどの改善は継続的に行っています」と話す。
しかし、Webサーバ内にあるコンテンツを変更したことが本当にサイト表示の速度向上につながったかどうかを評価することには、難しさを感じていた。アカマイのDigital Performance Management製品mPulseによって、Webサイトの改善作業をより効率的に行えるようになったと語るのはデータマーケティング部門 検索グループの辰巳 勇臣氏だ。「コンテンツのある項目の変更をJavaScriptで試し、その結果がよければサーバサイドで実際に設定を変更するといったことができます。やりながら確認できるのが良いです」(辰巳氏)。
mPulseで「リアルな」ユーザーモニタリングを実現
従来、MonotaROでは別のモニタリングツールを使用していたが、このツールには様々な問題があった。まず、対応ブラウザが特定バージョンのIEのみで、他のブラウザはサポート対象外だった。さらに、ある特定の地点からWebサイトを監視するのみであり、実際のユーザーにはどのように表示されるのかをモニターできるわけではなかった。モニタリング結果を確認できるまで時間がかかるという問題もあった。mPulseを導入したことで、このモニタリングが行いやすくなったと牛島氏。「導入も非常にスムーズで、早々に活用を始められました」(牛島氏)。さらに、データマーケティング部門 部門長 久保 征人氏は「実際にお客様のところからのサイト速度がどれくらいであるかを正確に知りたいと考えていました。mPulseのリアルユーザーモニタリング機能を使うことで、この環境のこのブラウザでこの程度の速度が出ている、といった情報がリアルタイムにわかるようになりました。しかも、サンプリングではなく、全数でわかるのも優れた点です」と話す。
Google Analyticsも併用するが、リアルな全数データ取得はmPulseの魅力
MonotaROは、mPulseと並行してGoogle Analyticsも使用している。「Google Analyticsで確認できるのはサンプリングされたデータです。ユーザーの統計情報などを確認したいときには、Google Analyticsが便利です。しかし、サンプリングされたデータでは、だいたいこれくらい、としかわかりません。一方mPulseのリアルユーザーモニタリングは、全数データを収集することができ、ユーザーがどのような経路でWebブラウズを行ったのかも探ることができます。リアルタイムで確認することができるのもmPulseの魅力です。条件を変えたり絞ったりしながらリアルタイムに問題点を探り当てることができるわけです」(牛島氏)あらかじめグルーピングしたページ群に対するビーコンヒットやレンダリング時間をリアルタイムで確認しながら、日々の運用にmPulseを利用しているという。「変更リリースの直後に遅くなっていないかを見守るのに役立っています」と牛島氏。
A/Bテストに活用、そしてコアな業務に集中
A/BテストでもmPulseが活用されている。「Webサイトのリリースは週1くらいの頻度で行っています。システム変更を加えるときやページデザイン変更を行う際にmPulseを活用して、Webサイトの変更によって速度がどのように変わるかを検証しています」(牛島氏)。mPulse導入以前は、内製したJavaScriptコードを使った計測を行っており、mPulse利用時と同じようなデータは持っていたという。しかし、ブラウザ属性などを考慮しつつ内製を行うのは「かなり大変」と久保氏。ITエンジニアリングリソースをコアな業務に集中させるために、mPulseという外部リソースを活用しており、その結果に満足しているという。
海外ECサイト運用、都市ごとの回線速度の確認にも
「最初は日本国内のみでmPulseを使っていましたが、海外向けのECサイトでも同様にモニタリングを始めました」と語るのはデータマーケティング部門 海外ECグループ グループ長の古畑 耕輔氏。「日本はネットワーク事情が良いので気にならないことが多いのですが、アジアでは都市によってネットワーク速度が大きく変わることがあります。日本の感覚とは違うのです」mPulseは海外ECサイトにおける速度改善にも活用されている。「東南アジアでは地域によるインターネット回線速度のバラつきが大きく、例えば首都部近郊からのアクセスは高速だが、地方からのアクセスは低速ということがよくあります。全体平均で速度を評価するとその実態が把握できませんが、mPulseでは国、都市レベルにドリルダウンして速度を見る事ができるので、非常に役立っています」(古畑氏)
「東南アジアでのECサイト運用を考えるとき、極端に遅い環境に惑わされないことも我々にとっては重要です」と久保氏。「日本では90パーセンタイルで品質を満たすことを目指していますが、それと同じ基準をアジア地域で採用すると、ネットワークが遅いユーザーに引っ張られすぎてしまいます。mPulseを採用したことで、極端に遅い環境でのデータを切り離して評価できるようになりました。極端に遅いユーザーによるアベレージの罠にとらわれることがないのです」(久保氏)。たとえば、ある地域では75パーセンタイルで考えるなど、適切な基準を決めるためのデータを細かく取れることもmPulseの魅力であるという。
さらなる速さとユーザー利便性を求めて
今後もMonotaROは、mPulseを活用したECサイトの速度向上を追求し、ユーザーの利便性向上を図っていく。「サーバ側のコンテンツを変更しても、ユーザーとサーバの間にあるネットワークにかかる時間という超えられない壁があります」(古畑氏)。日本のインターネットインフラが整備されている一方で、アジアで高品質な通信を実現するにはネットワーク的な課題が大きい。その課題に対応するため、CDN(Content Delivery Network)による効果的なWebコンテンツ配信の高速化と、mPulseを使った国別のパフォーマンスチューニングとをうまく組み合わせていきたいと、久保氏は締めくくった。