出前館

出前館、Akamai を活用してゼロトラスト・セキュリティ・イニシアチブを開始

日本最大級のフード・デリバリー・サービスを運営

日本最大級のオンライン・フード・デリバリー・サービスを運営している出前館は、レストラン向けの共用配送サービスや共同調達サービス(仕入館)など、新しいサービスを追加しながらビジネスを拡大してきました。最近の生活習慣の変化に伴い、フードデリバリー業界は大きな成長を遂げており、出前館の事業はかつてないペースで拡大しています。同社は、レストランが丁寧に調理した食事をお客様の戸口に安全に配送する責任を担っていると考えています。また、このような急速な変化の時代を先取りし、市場のニーズに対応しながら、出前館ブランドをさらに発展させることを目指しています。

VPN デバイスはオフィスの移転やシステム負荷の増加といった要求に対応できない

出前館の社内業務システムにオフィス外からリモートアクセスできるようになったとき、従業員はオフィス内のデバイスにアクセスするためにコンピューター上の SSL VPN クライアントを使用しました。同社は約 500 の VPN アカウントを持っていましたが、オフィスの移転とシステム負荷の増加により、新しいリモートアクセス環境を導入する必要がありました。

「スペースが限られているため、新しいオフィスにネットワーク機器を持ち込むことはできませんでした」と、出前館のプロダクト本部情報システム部部長、吉川英興氏は言います。「つまり、新しいオフィスに VPN デバイスを設置できなかったため、社内システムへのアクセスが失われる危険性がありました」。

オフィス移転と同様に、システム負荷の増加も業務や人員の拡大によるものでした。2020 年第 3 四半期には、アクティブユーザー数が 370 万人、加盟レストラン数が 2 万 4,000 店、流通総額(GMV)が 297 億円に達しました。2021 年の第 3 四半期には、アクティブユーザー数が 652 万人(約 1.8 倍)、加盟レストラン数が 7 万 4,000 店(約 3 倍)、GMV が 428 億円(約 1.4 倍)に成長しました。

出前館のビジネスはかつてないほどの成長率を見せています。「当社の IT システムは、ビジネスの成長スピードについていけなくなっていました。データセンターに使用可能なラックがないため、物理サーバーを追加することができませんでした。もちろん、パフォーマンスのチューニングには熱心に取り組んでいましたが、ビジネスの成長スピードにはついていけませんでした」と吉川氏は述べています。


EAA を選択した主な理由は、データセンターとクラウドの両方にシームレスにアクセスできることでした。これに加えて、認証システムや認可システムの強化により、ゼロトラスト・フレームワークによってアクセスを制御することもできました。

吉川英興氏、出前館、プロダクト本部情報システム部部長

ハイブリッド環境へのシームレスなアクセスが必要

データセンターの状況を理由に、出前館はクラウドサービスへの移行を加速させ、オンプレミスとパブリック・クラウド・サービスを組み合わせたハイブリッド環境に移行しました。クラウドサービスはサーバーを簡単に追加でき、高い負荷に対する耐障害性に優れているため、たとえば、サーバーに負荷がかかるキャンペーンやその他の顧客志向サービスではクラウドサービスを使用するという選択をすることができます。

開発スタッフもビジネスシステムをクラウドに移行し始めましたが、データセンターを使用するシステムはまだ多数ありました。そのため、出前館はデータセンターとクラウドの両方へのシームレスなアクセスを可能にする新しいリモートアクセスを必要としていました。

「最も重要なのは、生産性の中断を回避することでした。ユーザーが、どのシステムにアクセスする必要があるかを考えることなく、データセンターとクラウドにシームレスにアクセスできるようにする必要がありました。また、オフィスやデータセンターにスペースがないため、機器を設置することもできませんでした。幸い、Akamai Enterprise Application Access は当社のすべての要件を満たしていました」と吉川氏は語っています。

Akamai が安全な接続を促進

オフィス移転計画の実施に伴い、出前館はいくつかの選択肢を検討し、Enterprise Application Access(EAA)が最適なソリューションであると判断しました。吉川氏は次のように説明しています。「他のベンダーが提供するクラウド型 VPN と Enterprise Application Access を比較しました。EAA を選択した主な理由は、データセンターとクラウドの両方にシームレスにアクセスできることでした。これに加えて、認証システムや認可システムの強化により、ゼロトラスト・フレームワークによってアクセスを制御することもできました。さまざまな理由から、EAA を新しいリモート・アクセス・ソリューションとして実装することにしました」。

出前館は、オフィス移転の準備を進めながら、Enterprise Application Access の概念実証(PoC)を実施しました。PoC フェーズ中に大きな問題は発生せず、移転完了後、Enterprise Application Access は PoC から本番環境に直接移行しました。Enterprise Application Access は、新しいリモートアクセス環境の重要な要素となりました。

「EAA を VPN に代わるリモート・アクセス・ソリューションとして導入したことで、厳格なゼロトラスト・アクセス制御が実現しました」と吉川氏は言います。「Enterprise Application Access Connector(仮想アプライアンス)をサーバーに導入するプロセスは複雑になると予想していましたが、テンプレートのみを使用して処理をほぼ終えることができました。導入作業は非常に簡単でした」。

出前館は、Enterprise Application Access のユーザーライセンスを約 800 件保有しており、すでに 700 件以上のアカウントを作成しています。エンジニアは、オフィス外からのあらゆるアクセスに EAA クライアントを使用します。「ユーザーに EAA クライアントをインストールさせました。ユーザーにとっては単に VPN が EAA に置き換わったことになります。変わったのはログイン方法だけです。操作性という点では何も変わっていません」と吉川氏は言います。「ユーザーは、データセンターとクラウドのどちらに接続しているかを考える必要がありません。EAA クライアントが、各アプリケーションに適した EAA コネクターに自動的に接続します。ユーザーから否定的なフィードバックを受けていないという事実は、ユーザーが問題なく必要なものにアクセスできている証拠です」。


ユーザーから否定的なフィードバックを受けていないという事実は、ユーザーが問題なく必要なものにアクセスできている証拠です。

吉川英興氏、出前館、プロダクト本部情報システム部部長

ゼロトラスト・セキュリティ・イニシアチブを通じてアクセスをセグメント化

出前館は、Enterprise Application Access を単なるリモート・アクセス・ツールとして使用するだけでなく、ゼロトラスト・セキュリティを実現するための認証制御ソリューションとしても使用し始めました。認証は Enterprise Application Access によって制御され、アクセス許可は従業員の役割に従って付与されます。たとえば、社内で使用されているビジネスシステムへのアクセスは幅広いユーザーに許可されますが、開発環境データベースや同様のシステムへのアクセスは関連部署のエンジニアにのみ許可されます。営業スタッフやその他の従業員が開発環境にアクセスできないようにシステムが構成されています。もちろん、エンジニアも会社のすべてのデータベースにアクセスできるわけではありません。接続は、開発に関与する部門に所属するスタッフに限定されます。

吉川氏は次のように述べています。「Enterprise Application Access をインストールして以降、ゼロトラスト・セキュリティを徹底的に取り入れたいと考えていました。しかし、私たちの取り組みは始まったばかりです。将来的に、ゼロトラストの概念に基づいて、よりきめ細かい制御を導入したいと考えています」。

多要素認証を使用したさらなるセキュリティ改善を計画

ゼロトラストなどのセキュリティ対策が次々と講じられている一方、事業の拡大に伴って出前館が取り扱う個人情報の量も増加しています。「出前館は、多くのお客様が使用する人気の高いデリバリーサービスに成長しており、お客様の個人情報を保護する大きな責任を負っています」と吉川氏は言います。「ネットワークに侵入したり個人情報を流出させたりする恐れのある標的型攻撃に、特に注意する必要があります。そのため、Akamai MFA を多要素認証として実装し、アカウントの乗っ取りやデータ漏洩を防止することを検討しています。今後も Akamai との連携を継続していくことを楽しみにしています」。

*この記事の内容はインタビュー時点の状況に基づいています。この記事は公開後も編集される可能性があることにご注意ください。


株式会社出前館について

株式会社出前館は、日本最大のフード・デリバリー・ポータル・サイトである出前館を運営しています。出前館は、ピザから中華料理、寿司、西洋料理、アルコール、オンラインスーパーマーケットまで、10 万以上の加盟店に配送サービスを提供しています。同社の業績は、さまざまなサービスによって拡大しています。たとえば、「シェアリングデリバリー」を利用すれば、自社のデリバリーサービスがないレストランでも、出前館のデリバリーネットワークを共同利用してデリバリーを提供できるようになります。「インキュベーションキッチン」は、低リスク、低コストでの試験的なフード・デリバリー・サービスをサポートします。「仕入館」は、レストラン向けの共同調達サービスです。出前館は、2016 年 5 月に LINE 社と業務提携契約を締結しました。その後、2020 年 3 月には LINE 社との資本業務提携を発表しました。今後も、出前館はすべてのレストランサービスに対応する総合的なフード・マーケティング・プラットフォームを目指します。 https://demae-can.com

Akamai について

Akamai はオンラインライフの力となり、守っています。世界中の先進企業が Akamai を選び、安全なデジタル体験を構築して提供することで、毎日、世界中の人々の生活、仕事、娯楽をサポートしています。クラウドからエッジまで、世界で最も分散されたコンピューティングプラットフォームにより、Akamai は、アプリケーションの開発や実行を容易にし、同時に、体験をユーザーに近づけ、脅威を遠ざけます。Akamai のセキュリティ、コンピューティング、配信の各ソリューションの詳細については、 akamai.com および akamai.com/blogをご覧いただくか、 Twitter と LinkedInで Akamai Technologies をフォローしてください。


関連するお客様事例

セキュリティ

米国のヘルスケア企業

マイクロセグメンテーションによるレイヤー 7 の可視化とスマートポリシーを使用して、ヘルスケア企業が 1 日で 4,000 件ものサイバー攻撃を阻止した方法をご確認ください。
続きを読む
セキュリティ

Zalando

Zalando が Akamai Account Protector で買い物客を詐欺やアカウントの不正使用からどのように保護しているのかをご覧ください。
続きを読む
セキュリティ

Novant Health

Novant Health は、Akamai API Security を活用した可視化、データ保護、「シフトレフト」テストにより、API のリスクを検出、緩和しています。
続きを読む