ファイルアップロードをエッジで検査する Malware Protection のご紹介

執筆者

Kunihiko Fujii 藤井 久仁彦

July 07, 2023

Senior Solutions Engineer, CISSP

外資系通信キャリアでテクニカルコンサルタントとして10年以上に渡り国内・海外企業のITインフラ刷新やセキュリティ強化を支援。その後、航空会社のIT部門にてITインフラ企画やセキュリティ戦略、プライバシー法令対応に従事。現在は、アカマイ・テクノロジーズでプリセールスエンジニアとしてユーザ企業の視点を活かして、デジタル事業や企業セキュリティに関するお客様の課題解決を支援しています。

Akamai Malware Protection offre una soluzione preventiva alle app web e alle API, proteggendole dai caricamenti di file dannosi mediante la scansione dei caricamenti di file sull'edge.

昨今、Webサイトに「ファイルアップロード」することは、以下の用途を含め、頻繁に行われています。

  • 各種申請のための申請書類、証明書、本人確認書類
  • 商品レビューやオリジナル商品作成のためにユーザーが撮影した画像
  • 旅行やホテルの予約時の身分証明書、ワクチン接種証明書
  • 保険金請求の一環として提出する証拠画像
  • 求人応募用の履歴書
  • 組織、企業へのお問合せ
  • コンテンツ管理システム(CMS)

一方で、WebアプリケーションやAPIでアップロードされるバイナリーファイルにマルウェアが埋め込まれる問題が多発しています。Dimensional Research 社の調査によると、組織の87%がウェブ上での安全なファイル転送にリスクを感じています。また、OWASP Foundationからもファイルアップロードには、致命的な脆弱性が存在することが報告されています。

mpr-jp-01.png

この問題に応えるために、Akamai は2022年6月に エッジでマルウェア検査を行う Malware Protection を発表致しました。

 

 

■エッジでマルウェア対策を実現

Malware Protection は、WebアプリケーションとAPIでのファイルアップロードをエッジでスキャンすることで、悪性のファイルをオリジン環境に送信する攻撃を阻止します。

オリジン環境にマルウェアをスキャンする仕組みを実装していたとしても、アップロードされたファイルは一時的にでも組織内に到達してしまうため、システムがマルウェアに感染するリスクがあります。また、いわゆる「水飲み場攻撃」に悪用され、サイトにアクセスした顧客や、従業員にマルウェアを感染させる可能性もあります。

Akamai のエッジでスキャンすることにより、悪性のファイルがオリジン環境に到達することを防ぎます。また、高速にスキャンするため、ユーザー体験に影響を与えることなく利用することができます。

malwareprotectionoverview
■エッジでファイルアップロードの検査を行うメリット

Malware Protection によるエッジでファイルアップロードの保護は、組織・企業に対して以下のメリットをご提供致します。

mpr-jp-03b.png

1. スケーラビリティ

Akamai Intelligent Edge でファイルアップロードを保護するため、ビジネスの成長によるトラフィック増加やオリジン環境の変化に依存することなく継続的に保護を強化することができます。

 

2. シンプルかつ迅速な導入

オリジン環境でエージェントベースや ICAP を使ったスキャンシステムのように、システムごとに保護の設定をする必要がなく、エッジで包括的にスキャンができます。また、Webアプリケーションの設定やコードの変更は必要ありません。

Fortune 100 に選ばれている金融サービス企業から、「Malware Protection はローコードまたはノーコードのソリューションで、導入が簡単でした。Malware Protection の応答時間は非常に速く、ほぼスキャンすると同時に応答が返ってきました」とフィードバックを頂いています。

 

3. セキュリティ強化

オリジン環境でスキャンする場合は、スキャンする時点でマルウェアが内部で拡散してしまう可能性がありますが、Malware Protection はエッジで処理されるため、そのリスクを回避できます。

また既存のファイルスキャン対策に加える形で、多層防御的に活用することも可能です。

 

 

■Malware Protection が提供する主な機能
  • マルウェアスキャン
    • アップロードされたファイルをAkamaiのエッジサーバーにてマルウェアスキャンを行う
  • 検査と制御
    • マルウェア検知時のアクションとして本投稿時点で提供可能な制御方法は以下の通り
      • Alert
        • ファイルアップロードは遮断しないものの、マルウェア検査を行う
      • Deny
        • エッジにてエラー応答を返す
      • Custom Deny
        • エッジにて遮断し、お客様が定義する応答コードやボディを返す
  • 検査対象のファイルタイプの指定
    • 事前に定義したファイルタイプのみアップロードを許可したうえで検査
  • 分析とレポート
    • Akamai Control Center の Web Security Analytics ツールによる分析とレポート機能を提供
    • アラート通知機能も設定可能
  • SIEM 連携
    • Malware Protection の検知イベント情報をお客様のSIEM環境との連携が可能
  • 柔軟な運用
    • Malware Protection の設定をGUI、API、CLI、または Akamai Terafform Provider を使って実装可能

 

 

■まとめ

様々な業界でデジタル化が加速しビジネスプロセスがWebアプリケーションへ移行しています。それによりユーザーは以前より多くのファイルをアップロードするようになっています。一方で、ファイルアップロード機能によって悪性のファイルが組織、企業に転送されるリスクが高まっています。

Akamai の Malware Protection は、ファイルアップロードに起因するリスクをエッジで容易に緩和できます。安心したオンライン体験をユーザーに提供し続けるために、ぜひこの機会に Akamai の Malware Protection の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 


執筆者

Kunihiko Fujii 藤井 久仁彦

July 07, 2023

Senior Solutions Engineer, CISSP

外資系通信キャリアでテクニカルコンサルタントとして10年以上に渡り国内・海外企業のITインフラ刷新やセキュリティ強化を支援。その後、航空会社のIT部門にてITインフラ企画やセキュリティ戦略、プライバシー法令対応に従事。現在は、アカマイ・テクノロジーズでプリセールスエンジニアとしてユーザ企業の視点を活かして、デジタル事業や企業セキュリティに関するお客様の課題解決を支援しています。