Akamai ブログ | Akamai Managed Content Protection で著作権侵害に対抗
「車を盗もうとは思わないでしょう。ハンドバッグも、テレビも、映画の DVD も、盗もうとは思いませんよね。実は、映画の海賊版をダウンロードすることも、窃盗行為なのです。」映画ファンの中には、2000 年代初頭に海賊版コンテンツのダウンロードについて警告した PSA を覚えている人がいると思います。
海賊版はさらに普及し、言うまでもなく音楽や出版物、ソフトウェアなどにも広がっています。当時の海賊版の数は、現在のエンターテインメント業界が直面している数の足元にも及びません。Akamai は、海賊版対策を優先事項とし、コンテンツの著作権侵害者が標的としているアタックサーフェスやコンテンツを徹底的に調査しています。その詳細をまとめたのが、最新の「 インターネットの現状/セキュリティ:広がる海賊版被害」です。
IP の保護を強化し、セキュリティリスクを軽減
こうした傾向や継続的に行っている調査から、当社は、著作権侵害からコンテンツを保護できるようにお客様をサポートする必要があると強く感じるようになりました。その流れで開発したのが、Akamai Managed Content Protection(MCP)サービスです。これは、お客様が知的財産(IP)の保護を強化し、著作権侵害に関わるセキュリティリスクを軽減することを目的としています。このサービスで企業とその顧客の保護する仕組みを理解するためには、まず、著作権侵害の状況全般を把握する必要があります。
「被害者なき犯罪」という神話
著作権侵害は一般に「被害者なき犯罪」と言われていますが、この表現は現実とかけ離れています。世界規模の著作権侵害により、米国経済は年間平均 290 億ドルの損失を被っていると、 全米商工会議所のグローバルイノベーションセンターは試算しています。著作権侵害が最も多いテレビ業界と映画業界は、米国だけでも 250 万人の雇用 を抱えています。著作権侵害は、その人たちの収益と生活を脅かしており、この状況はさらに拡大しつつあります。
Akamai の最新の「インターネットの現状/セキュリティ」レポートでは、世界的な海賊版の需要を知るため、2021 年 1 月から 9 月の期間、ブラウザーやモバイルアプリケーションを介して映画やテレビ番組に直接アクセスできる Web サイトへの訪問者数と Torrent のダウンロード数を調べました。その結果、無許可のストリーミングとダウンロードが 37 億件に達したのです。さらに、海賊版を入手した消費者の 61.5% がそのような Web サイトへ直接アクセスし、そのうち 28.6% がそのサイトを積極的に検索していました。
著作権侵害が最も多い業界は?
それはテレビ業界です。ストリーミングにより、海賊版を作成して貴重なコンテンツへのアクセスを不正に提供することが容易になったためです。著作権侵害は、正規の料金を支払っている顧客に不満を与え、コンテンツプロバイダーに法的な影響を及ぼすだけでなく、フィッシングやマルウェア、悪用、ボットネット、ランサムウェア攻撃、ID の盗難など、さまざまな悪意のあるコンテンツに消費者をさらしてしまうことにもなります。当社のエンジニアは、Akamai の MCP サービスで検知した違法なストリーミングサイトの 90% 以上がこの種のコンテンツを含んでおり、ユーザーにもストリーミングプロバイダーにも真の脅威をもたらしていると明らかにしました。
また、ライブイベントも著作権侵害に対して非常に脆弱です。これは、需要が高く、リアルタイムで見ることに価値があるためです(たとえば、大きなスポーツイベントの結果は誰も見逃したくありません)。
一般的な著作権侵害行為
当社の経験から、最も一般的な著作権侵害には以下のような行為があります。
リンク共有とトークン収集: モバイルおよびデスクトップアプリケーションは、著作権侵害のイベントを自らの広告とともに収益化し、不正に取得した、あるいは使い回しのアクセストークンでアクセスします。
ストリームリッピングと再ストリーミング: 著作権侵害者は、Twitch、YouTube、Facebook などの一般的なソーシャルチャネルを介してイベントをストリーミングします。これは、デジタル著作権管理(DRM)、暗号化、トークン化を行っても発生します。
VPN/プロキシ: 著作権侵害者とユーザーは、地域制限をバイパスしてコンテンツにアクセスします。
あらゆる方向からの検知を実現
増加し続ける著作権侵害行為に対応する企業を支援するため、Akamai では当社の MCP サービスを Broadcast Operations Command Center (BOCC)の一部とし、放送事業者の防御の最前線と考えています。
MCP は、著作権侵害行為を被害が発生する前に阻止することを目的に開発されました。これは Akamai 独自の機能で、放送業界に対する著作権侵害をほぼリアルタイムで特定して緩和します。このサービスは、自動モードで実行することも、人間が監視しながら実行することもできます。また、メディアワークフローで採用されている現行のサービスを補完し、外部からの入力に基づいて成果を出すことや、他のツールやサービスにつなぐインテリジェンスを提供することもできます。それと同時に、著作権侵害行為に関するインテリジェンスも長期にわたって収集します。
こうした要素を組み合わせることで、組織は著作権侵害の脅威を把握し、学習して、適応することができるため、サービスの狙われやすい部分について理解を深め、侵害を積極的にその場で阻止できるようになります。
MCP で著作権侵害の脅威に対抗
MCP では、次の 4 つの主要コンポーネントを使用して著作権侵害の脅威に対抗できます。
監視: 監視コンポーネントは、トラフィックを処理している地域を特定し、ストリーミングのワークフローとエコシステムの状況認識をリアルタイムで行います。
自動検知: MCP は、エッジから異常なフィンガープリントを出力し、脅威を自動的に評価して、ディープラーニングを通じて「信頼できるレベルのスコアリング」機能を提供します。
リアルタイム分析: MCP サービスを利用しているお客様は、受信リクエストに対し、プログラム化した L7 分析をリアルタイムで実行できます。また、マネージド・サービス・ドメインの専門知識や「継続的な監視」機能も利用できます。これらは、BOCC の著作権侵害や放送業界のエキスパートによるサポートの一部です。
迅速な緩和: アクティベートから数秒以内に侵害を条件ベースおよびルールベースで緩和し、既存の Akamai および顧客保護の機能を補完して保護範囲を拡大します。
合法的な視聴を推進
MCP は、技術的な対応に加えて、著作権侵害サイトのユーザーを有料加入者に変える機会も提供します。不正アクセスをほぼリアルタイムで遮断することで、海賊版コンテンツの潜在的な視聴者を合法的なアクセス方法へと促します。これにより、消費者の満足度と安全性が向上します。また、このサービスで収集したビジネスインテリジェンスは、組織が消費パターンを理解し、適切なコンテンツ戦略を特定するのに役立ちます。
「広がる海賊版被害」で明らかになったように、著作権侵害はかつてないほど広がっており、著作権侵害者が利用する手法やテクノロジーも絶えず進化しています。組織は、著作権侵害者とともに進化し、ソリューションを積極的に取り入れて、著作権侵害をブロックし、IP を保護していく必要があります。Akamai のお客様にそのような機能を提供するのが Managed Content Protection です。当社は、進化し続ける著作権侵害の課題に対応するため、サービスを継続的に改善していきます。
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OTT 動画ストリームに対する Akamai のサポートの詳細については、 Akamai Broadcast Operations Command Center および 「インターネットの現状/セキュリティ」レポートをご覧ください。